こんにちは。横浜・鎌倉のプロ家庭教師 佐々木です。
お母様から、「子どもが宿題をしない」件でご相談をいただきました。
子どもが宿題をしません。
あまりにもやらないので「宿題しなさい!」と怒鳴ってしまったら、「宿題なんてやっても意味ないし!」と言われてしまいました。
確かに、この宿題意味あるの?みたいな宿題が出ていることもあり、言いたいこともわかります。とはいえ宿題をやらないまま放っておくわけにもいかなくて・・。
何かいい言い方とか、接し方等あれば教えてください。
宿題…正直にいえば、そりゃあ、やらなくていいなら、やりたくないですよね。ええ。短期的には。もっと楽しいこともありますし。
でも、宿題は本当に大事。宿題や提出物の提出状況で、成績が変わることだってザラです。ちゃんとやれば評価され、そうでなければ評価が下がる…。
大人は宿題をしないとどうなるか、何が起こるのか感覚でわかっているので、「宿題しなさーい!!!」と言いたくなります。
それなのに、子どもが聞き入れないときはどうしたらいいのでしょうか?
今日は、宿題をしない生徒さんに対して有効なアプローチをご紹介します。
共感する
宿題をしない子どもにイライラする気持ち、めちゃくちゃわかりますよ!わたしも毎日のように悩まされています。
宿題をさせたいときは、まず「こんなに難しいことをやってるの、大変だね」とお子さんをねぎらってみてください。
まず共感することで、敵対心を弱めることができます。
だいたい親子が宿題の話をするときって、
宿題やったの!?
これからやるし!!
今すぐやりなさい!!!
うるさいなあもう!!!
(勢いよくドアを閉める)
みたいにけんか腰になりがちじゃないですか。
そこで、まずは
頑張ってるのね
宿題、すごい量ね…
難しいことをやっているんだね…
みたいにねぎらってみてください。これをすると子どもも話を聞き入れやすくなります。
「そうなんだよ、量が多くて」と困っていることを吐露することもあります。
対話する
「対話する」こと、一方通行ではなく、双方向のコミュニケーションです。共感しつつ、話を聞いてみてください。
聴く
まず、宿題をなかなかしない生徒さんには、宿題をする上で困っていることを聞き出します。
・やろうと思ったけれど、わからなかった
・やろうと思ったけれど、時間がなかった
このふたつが、「あるある」ですね。生徒たちがよく口にする理由です。
「わからないからできない」なら、授業でやったことと同じものを宿題に出すことで解決できます。
一緒にプリント学習をして、それをもう一度一人で解いてもらう。よく「先生と一緒ならできるけれど、一人になるとできない〜」と言う子がいます。こういうタイプの子には「今日やったことを宿題として一人でやる」課題はとても有効です。
たとえ復習だとしても、その日やったことと別のことを宿題にしてしまうと「違う内容だ!できない」とシャットアウトしてしまう子もいます。
たとえば中2で連立方程式を学習したときに、宿題として中1の方程式の宿題を出すようなことが考えられます。教える側としては同じ「方程式」なのですが、勉強が苦手な子には「違うもの」に見えて、できなくなる。勉強が苦手な子には、「同じ内容もう1回」がおすすめ。
「わからなかったこと」を教科書で調べてもらったり、絵を描いてもらう系の宿題もいいですね。
本当に苦手意識が強い子なら、授業として1回一緒に勉強したものを「2回自分で解く」という課題もあり。練習になりますし、できなかったということは減ります。
やろうと思ったけれど時間がなかった、という理由なら、その子の週のスケジュールを聞いて、一緒にできそうな時間を探してみてください。
本当に忙しくてまとまった時間が取れない子もいます。宿題は腰を据えてまとまった時間にやらないといけないと思い込んでいる子もいます。そういう子には細切れの時間を活用する方法を教えてあげるのも手ですね。30分取るのが難しくても、1日5分を6日用意できれば30分。それでもいいんです。
口にしない理由に注意
実は、生徒が口にしない理由というものも存在します。
・シンプルに面倒くさい
・やっても仕方がないと思っている
この辺りでしょうか。
シンプルに面倒くさいというのも、分解するとたくさんあります。
部活が忙しく、家に帰るときには疲れているとか。
とにかく家では筆記用具も持ちたくないし、ノートも開きたくないとか。
ひたすらに勉強が嫌いとか。
そして、やっても仕方がないというのは、やっても効果が感じらられない、成績が上がらないなど。あるいは、それをやる意味を認識できていない。
実はこの「やる意味を認識できていない」子は多く、この理由は結構大きいです。
彼らには、「なぜ宿題が必要なのか」を伝えます。
・一人でできるようになってほしい
・復習しないと忘れるから、勿体ないんだよ
・勉強する習慣を作ってほしいんだよ
などなど、宿題を出す理由、宿題をやってもらうメリットを伝えます。難しい話のように聞こえますが、小学校高学年くらいの子なら、理解することができます。かつ、この年頃になると、「いいからやれ」が通用しなくなるのも事実。
生徒さんの中には、「指示されることが得意(抵抗がない)」子と、「指示されることが苦手(抵抗がある)」子がいます。
宿題を忘れずきっちりやれるのは、「指示されることが得意な子」です。「今週はこれをやろうね」と言われればきっちりそれをやります。彼らは反対に「自分で考えて必要なところをやるんだよ」と言われるのが苦手だったりもします。
宿題をやらない系の子は、指示されることが苦手、抵抗があることがあります。「いいからやれ」と言われても、その通りできないことがある。
彼らには、なぜそれが必要かを話して、納得感をもたせてあげることが大切。
加えて、一方的にやれと突き放すのではなく、「宿題にこれを出そうと思っているんだけれど、できそう?」と問いかけることも有効です。
自分で「やる」と言ったことは、人から指示されるよりも遂行率が高くなります。だから、宿題をなかなかしない子には「これ、できる?」と聞いてあげる。
もう少しレベルの高い子なら、「どこをやる?」とやる場所を決めてもらうのもありです。
フィードバック
そして、宿題を普段しない子が宿題をしていたら、きちんとフィードバック。
かっこつけて難しい言い方をしましたが、要するに,とことんほめることが大切ですね。
当然という態度ではなく、褒める。そして喜ぶ。
「こんなにほめられて喜んでくれるなら・・・」と、生徒さんのモチベーションも上がります。自分の努力や変化を見ていてくれて、気づいて言葉にしてくれる人の存在って嬉しいものですよね。
古典的な方法ですが、宿題ができたら「シールをあげる」のも有効です。
目に見えるので、達成感の演出ができますね。生徒さんも意外と喜んでくれます。これが貯まってきたらシールの数を数えたりして「こんなに宿題をしたんだ」と惚れ惚れ見る。自信になります。褒めるのが苦手で、照れくさい人にも使えるおすすめの方法です。
宿題の意味を本気で語る。
宿題をきちんとやってほしいなら、宿題の意味を言って聞かせましょ!
シンプルですが、とても効果のある方法です。
宿題をなかなかしない子には、データを見せつつ
復習しないと忘れちゃうんだぞ!(宿題をしないデメリット)
書いたほうが覚えるからね!(宿題をするメリット)
と、宿題をしないデメリット、宿題をするメリットを話します。
人間のモチベーションは「いいことに近づきたい」と「悪いことを避けたい」大きく言うとこの2つだけです。
デメリットに反応して「それはやばい!やらなきゃ」となる人、
メリットに反応して「それは嬉しい!やりたい!」となる人がいます。
人によって、状況によってどちらを優先するかが変わるので、両方話すのがいいですね。そして反応を見ましょう。
中学生くらいになると結構大人なので、「意味のない(ような気がする)こと」は、やりたがりません。
だから、あえて理詰めで、証拠を出しながら話をします。
うちの生徒さんにも宿題を出すのですが、宿題を出しても頑なに「やらない」生徒さんが時々います。
彼らに、
「わたしが宿題を出すのはこういう理由だよ」
「復習しないと50%半分以上忘れちゃうの。せっかく勉強したのにそれは悲しいし、あなたの時間がもったいないから。だから復習してほしいの。」
「あなたは理解力があるよね。一回言えば理解できる。だから、それを定着させたら最強じゃない?定着させるために書くんだよ。だから宿題で書いてほしいの」
そう話すと、わかってくれることが多いです。
ちなみに、宿題をする意味についてはこちらにまとめました。
▼ 宿題、なんでやらないといけないの?宿題の意味と目的について考えてみた
絶対にやってはいけないこと
そして、絶対にやってはいけないこともあります。
それは、お子さんと一緒になって「こんな宿題、やる意味ない!」みたいに言うことです。
親御さんが「こんなの将来使わない」的な発言をしていたり、そういう態度でいると「宿題なんて将来必要ないんだ」「じゃあ、やらなくていいんだ!」という思考になります。
特に夏休みの読書して感想を書くアレ(あえて正式名称を伏せてみました)についてはよく批判が出ますよね。大人が一緒になって批判したら「そうか、これはおとなになっても使わないんだな」と子どもが思ってしまうので、「宿題意味ない説」を強めてしまいます。
これは共感とは違うんです!
宿題をしてほしいなら、その大変さをねぎらいつつ、「宿題は絶対必要なこと」というスタンスは崩さないでください!
そうでないと「親が必要ないって言ってたし」と、宿題やらなくていい言い訳を与えてしまいます。
謎な宿題でも「先生はこうしてほしいんじゃない?」「先生はこんな目的で宿題を出したんじゃないかな」みたいなことを言ってあげられるといいですね。
子どもが宿題をしないときの対策 まとめ
- 共感をしめすと、話を聞き入れやすくなる
- 宿題が必要な理由を、理論的に語る
- 間違っても「そんな宿題、意味ない」みたいな態度を取らない
宿題をなかなかしない子には、対話しましょう。一方的に説教するでもなく、ただひたすら言い訳を聞くでもなく、対話することが大切です。
できない理由が明白なら、解決策を一緒に考える。
宿題をする意味がわかっていないなら、納得できるように話す。
できそうな課題を出す。
自分で選んでもらう。
このようなアプローチが効きます。
とにかく、対話すること。
長くこの仕事をしてきて、「宿題しない系」の生徒にもなんども遭遇しましたが、これが一番でした。というか、これしかないように思います。宿題しない人に困っている人は試してみてくださいね。