こんにちは。横浜・鎌倉のプロ家庭教師 佐々木(@kateikyo_megumi)です。
今日は親御さんから、お子さんの勉強に対する姿勢についての相談です。

子どもの将来のためにも勉強してほしいですし。塾にも通わせています。
ただ、子どもは「どうせできないよ」と言って勉強に積極的になりません。私としては進学校に行ってほしいとか、有名大学に行ってほしいとかは思わないです。ただやりたいことを見つけた時に選択できるように勉強しておいてほしいだけなのですが、なにを言っても響かないですし、すごく消極的な態度に悲しくなります。
どうしてこうなってしまったのか、今後どうすればいいか、何かアドバイスをいただけると幸いです。
どんなに言ってもダメだったから、逆に何も言わないで放っておこう…と思ったら、余計になにもしなくなる。
言っても反発され、言わないで放っておいてもダメ。もう完全に八方ふさがり。何をしたらいいか分からないですよね。それでも、子どもには将来のために勉強してもらいたいもの。いったいどうすれば、解決できるのでしょうか。
「どうせできない」と感じてしまう子どもたちが少なくない現代において、このフレーズは単なる言葉以上の重みを持っています。
子どもたちがこう感じる背景には、多くの要因が絡み合っていることが考えられます。本記事では、そうした子どもたちに焦点を当て、勉強しない子どもに何が起きていて、どうすれば勉強に気持ちが向くようになるのかを解説していきます。
「どうせできない」と感じる子どもの現状
子どもが「どうせできない」と感じることは、学業だけでなく、自己肯定感や将来への希望に大きな影響を与えます。このような感情を抱える子どもたちは、失敗を恐れ、新しい挑戦を避ける傾向にあります。結果として、学習意欲の低下や、学校生活におけるストレスの増加が見られます。
このままではよろしくないです!こうした現状を改善するためには、子どもたちのメンタル面や学習環境の整備が不可欠ですね。
どうせできない!という気持ちの正体
「どうせできない」と言って挑戦もせずに諦めてしまう状態のことを、心理学用語で学習性無力感といいます。学習性無力感とは、「自分はダメだ!」と思い込み、一切の努力をやめてしまう心理状態のことをいいます。
「できない」「ダメ」が続いたり、派手に失敗してしまったりすると、「何をやっても無駄、できない」ことを学習してしまい、それ以上の努力をやめてしまいます。
それだけでなく、いちど学習性無力感に陥ってしまうと、「達成できそうな課題」でさえも挑戦しなくなります。
お子さんが全く勉強しないときは、この状態に陥っていることがほとんど。勉強で大きな失敗をしたり、自分はできないと思い込んで疑わなくなっていたりしていたら、要注意です。
お子さんが学習性無力感に陥っているかどうかは、こちらのチェックリストをご覧下さい。
- 自分からは全く勉強しない
- 勉強したとしても教科書を見ているだけ(勉強するフリ)
- 勉強するよう言っても「やっても無駄だよ」と言う
- 塾や家庭教師をつけても、その時しか勉強しない
- 一時期は勉強を一生懸命やっていた
- 将来の夢、目標らしきものがない
- 家庭環境は厳しい方だ
- 完璧主義である
これらに当てはまると、学習性無力感に陥っている可能性が高いです。
子どもが「どうせできない」と感じる理由
子どもが「どうせできない」と感じる背景には、さまざまな要因が存在します。
過去の失敗経験
過去の学習や試験での失敗経験が積み重なると、子どもは「自分は勉強ができない」と思い込みやすくなります。例えば、テスト前に時間をかけてしっかり勉強したのに、思わしくない点数だった等。そういう経験が続くと、「自分はできない、勉強はやっても無駄なんだ」と思い込むようになります。
この思い込みが新たな挑戦に対する恐怖を生み、さらに失敗を招く悪循環に陥ります。
過度なプレッシャー
親や教師からの高い期待や、周囲の友達との競争がプレッシャーとなり、子どもが自分の能力を過小評価する原因となります。たとえばテストで1つミスをして99点だったとします。それでも99点を取れるなら素晴らしいことだしきちんと勉強したといって問題ないのですが、「100点しか許さない。1つのミスもしてはいけない」というような圧をかけたり、「次失敗したらお小遣い抜きだから」と圧力をかけたり、プレッシャーが大きすぎると、子どもは挑戦する前に諦めるようになります。
自己評価の低さ
自分の能力を正当に評価できず、「どうせ自分はできない」と思い込む子どもが多いです。これは、自己肯定感の低さや自信のなさの表れです。
比較の中での劣等感
友達や兄弟姉妹との比較で劣等感を抱くことも、「どうせできない」と感じる一因です。学校のテストや成績は自分の実力を数値化するので、どうしても他人と比べてしまいがちになるのは否めません。そこで「まあ仕方ないか」「人は人、自分は自分」と思えればいいですが、他人の成功と自分の失敗を比較してしまい、自信を喪失することがあります。
自信の欠如とその影響
自信の欠如は、子どもの学習意欲や成績に直接影響を与えます。自信がない子どもは、以下のような問題に直面しがちです。
自信がないと、学習に対するモチベーションが低下し、勉強への取り組みが消極的になります。これは、成績不振やさらなる自信の喪失につながります。
勉強に対して自信がないと、今の実力なら余裕でできることすら、やりたがらなくなります。例えば小学6年生の子なら、小学4年生レベルの計算は普通にできるはず。それなのに「できないよ」と拒否することもあります。
自信がない子どもは、新しいことに挑戦することも避ける傾向にあります。これにより、成長の機会を逃し、長期的な学習能力の向上が妨げられます。頑張れば偏差値50レベルの高校に進学できそうな実力があるのに、偏差値45くらいの高校でいいや・・と挑戦をやめてしまいます。そして勉強を避けた結果、受験期に偏差値45の高校すら怪しいかも・・という状況に陥ったりもします。
このように、「どうせできない」という感情は、子どもの成長や将来に深刻な影響を及ぼします。
「どうせできない」を放っておくとどうなるか
「子どもに何を言っても勉強しないので、もう何も言わないでおこうかと思います」
そうおっしゃる方もいますが、恐怖症の状態で放っておいても、自分から勉強しようとすることはまずないでしょう。
あるとすれば、それはもう相当まずい状態になってから、ですね。具体的には、「受験が目の前に迫っている」「志望校に成績が足りない」時です。差し迫ってようやく勉強するようになる。でも、もう手遅れの場合がほとんど…。
勉強してほしいと思うなら、何かしらの手を打たないといけません。
「どうせできない」を克服する具体策
「どうせできない」と考えている子どもに対して、親ができるアプローチを紹介します。
小さな成功体験の積み重ね
子どもが自信を持ち、「どうせできない」という感情を克服するためには、小さな成功体験を積み重ねることが非常に重要です。成功体験を重ねることで、「できるんだ」という感覚を持ちやすくなり、学習への意欲も高まります。
まず、具体的で簡単な課題から始めることが効果的です。例えば、毎日10分間の読書や、1ページの計算ドリルを解くといった、簡単で達成可能な課題を設定します。これにより、子どもは達成感を味わい、次の課題に対する自信がつきます。
次に、達成可能なステップを設けることも大切です。大きな目標を小さなステップに分けて取り組むことで、子どもは毎日達成感を感じながら学習を進めることができます。例えば、漢字を100個覚えるという目標を1日5個ずつ覚えるように分割すると、無理なく目標に向かって進むことができます。
さらに、成功体験を記録することも有効です。子どもが達成した課題や目標を記録することで、自分の成長を実感させることができます。例えば、達成した課題をカレンダーに書き込んだり、グラフにして可視化することで、目に見える形での達成感を得られます。
ポジティブなフィードバック
成功体験を積むためには、適切なフィードバックを与えることが重要です。具体的な褒め言葉を使うことが効果的です。「よくできました」だけでなく、「今日の計算ドリル、全部正解だったね!正確に解けていて素晴らしい」といった具体的な褒め言葉を使うことで、子どもは自分のどこが良かったかを理解することができます。
努力を認めることも大切です。
結果だけでなく、努力そのものを認めることで、子どもは継続する意欲を持つことができます。「一生懸命勉強している姿を見ているよ!続けていればもっと上手になるよ」といったフィードバックを与えると、子どもは自分の努力が正当に評価されていると感じやすくなります。
また、ポジティブな未来を描かせることも効果的です。成功したことに対して「この調子でいけば、もっと難しい問題も解けるようになるね」といったポジティブな未来を示すことで、子どものモチベーションを高めることができます。
継続的なサポート
子どもが自信を持ち続けるためには、継続的なサポートが必要です。定期的に子どもの進捗をチェックし、フィードバックを与えることで、子どもは自分がサポートされていると感じ、自信を持って学習に取り組むことができます。
成功体験を共有することも重要です。他の家族や友達に成功体験を共有することで、子どもはさらに自信を深めることができます。例えば、家族の前で自分の成績や成果を発表する機会を設けると、子どもは自分の努力が評価される喜びを感じやすくなります。
最後に、フィードバックの一貫性を保つことが大切です。親や教師が一貫したフィードバックを与えることで、子どもは安心して学習に取り組むことができます。成功体験に対するフィードバックが一貫していると、子どもは自分の努力が正当に評価されていると感じやすくなります。
第三者の力を借りる
このように、家庭でできる取り組みも多いですし、継続的な取り組みが必要なのですが、とても忍耐のいることです。なかなか言うことを聞いてくれず、消極的な態度に親御さんがイライラしてしまうかもしれません。子どもが小学校高学年以上になると、反抗期に入るのでさらに言うことを聞いてもらえなくなります。
もし家庭でのサポートで限界なら、信頼できる第三者の頼るのも一つの手です。すっかり勉強に対して自信をなくしている子どもの心理を理解でき、少しずつ成功体験を積ませることができる人に頼るのもありです。
きちんとした学習塾、家庭教師であれば、そのあたりは心得ています。
反抗期に入ってくると、親の言葉は聞き入れなくても、信頼できる第三者の言葉であれば聞いてくれます。パイプ役になってもらいましょう。
まとめ 勉強嫌いは解消できる
まだまだ学歴社会。一度勉強を嫌いになってしまうと、この日本の現代社会ではとても生きづらいですね。
だからこそ、子どもの勉強嫌いを克服するのは、早いうちがいいです。
時間と労力はかかりますが、親御さんとお子さんに「なんとかしたい」気持ちがあれば、勉強嫌いは解消できます。
誰だって、好きなことならより知りたくなるし、得意なことならもっとできるようになりたいと思うものですよね。その状態に、少しずつ近づけて「できるかも」「面白いかも」と思えるようになれば、少しずつ勉強に向かいます。
だから、あきらめるのはまだまだ早い!
粘り強く、取り組んでいきましょう。
以上、佐々木(@kateikyo_megumi)でした!