こんにちは。横浜・鎌倉のプロ家庭教師 佐々木(@kateikyo_megumi)です。
高校生くらいになると、勉強と併せて重要なテーマになるのが進路選択です。先日も生徒さんから進路選択、職業選択について、相談を受けました。
将来の夢について迷っています。
将来は弁護士になろうと思っていて、法学部を志望してきました。でも、今更迷いが出てきてしまいました…。
周りの子達は将来のことよく考えていて、保育士になりたい子は子どもとのふれあいとか具体的なこと、やりがいとか話していてすごいなって思います。
でも、自分は本当に弁護士になりたいのかな・・・と思うようになりました。なんかかっこいいし稼げそう、社会は得意科目だし、資格持ってると食いっぱぐれないし強い!みたいなイメージが先行していて、法律に興味があるのかって言われれば正直あんまり・・。実は弁護士の仕事についてもあんまりわかっていなくて、凶悪事件を見ていたら、この犯人を弁護するなんて自分には無理だ、なんて不安になりました。なんか自分の将来の夢、こんなんでいいのかなって思ったりしています。
進路についてどう考えればいいか、教えてもらえると助かります。
とのこと。(生徒さんの個人情報保護のためがっつりフェイクを入れております)。
将来の夢を持って勉強していても、迷いが出ることはありますよね。進路に対する考えが揺らいでしまうと、勉強のやる気も落ちてしまうもの。そういう時に、どう考えて、どう判断すればいいのでしょうか?
こういう時には、「やる気の3要素」という考え方を使うと、頭が整理できます。
この記事では、「やる気の3要素」を紹介し、それに当てはめながら進路選択について考えてみましょう。
将来の夢に迷った時のヒント「やる気の3要素」
勉強のやる気には三要素あります。欲求・感情・認知です。それぞれについて簡単に説明しますね。
欲求
欲求とは、「○○したい」とか「○○になりたい」など、その人の欲求やら欲望です。そうなりたいと思える気持ちともいえますね。
「医者になりたい」「お金持ちになりたい」「偉くなりたい」等がこれにあたります。
感情
感情とは、その対象が好きかどうか。どんな感情を持っているかです。
好きならやる気になるし、嫌いならやる気が落ちます。
好きであればあるほどやる気は上がりますが、べつに「三度の飯より大好き」くらい好きでなくても問題はありません。
認知
認知というと言葉が難しいですが、簡単に言うと、その対象をどのように考えているかです。
自分にそれができそうか?
それに価値があるのか?
目的にあっているか?
これらをポジティブに認識していると、やる気が上がります。自分にできそうな気がする、自分にとって、社会にとって価値がある、と思っているとやる気が出てきます。
▼ やる気の3要素についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
将来の夢に迷うのは、3要素のどれかのせい
進路に迷ったときは、このやる気の3要素の視点から考えてみてください。おそらく、どれかが出過ぎているか、どれかが全くない状態になっているはずです。
欲求が先行した進路選択
たとえば、医者になりたい人が迷ってしまう理由は何でしょう?
「医者になるのはカッコいいから」
「たくさん稼げそうだから」
「将来安泰だから」
将来の夢について聞くと、こんな答えを返してくる子がいます。まあ、間違ってはいませんね。こういう理由なら、欲求が高い状態でしょう。
でももし、医学やら解剖生理学やらに興味がないなら、感情はゼロ。
そして、医者は難しいから自分には無理かもしれないと思っているなら、認知もかなり低い状態です。
こうなると、進路を考え直した方がいいですね><
進路について迷ってしまう人は、欲求が先行して、感情と認知がついてきていないことが結構あります。
つまり、お金持ちになりたいとか、自由になりたいとかいう欲求が先走って、その対象があまり好きではない、興味がない、あるいは好きかどうかを考えていない場合。また、それの価値や目的をあまりよく知らない場合。
医師や弁護士、公認会計士などの専門職を目指す人に割と多いかもしれません。医者にあこがれはあるけれど、実はあまり詳しくなかったり、実は生物やら解剖やらが苦手だったり。
「三度の飯より人体が大好き」とまではいかなくてもいいかもしれませんが、興味を持てるかどうかは大切なことです。興味がないことを一生やり続けるのはしんどい。
憧れが先行した進路選択は、そのあたりをあまり考えていないことが多いので、結構怪しいです。
感情が先行した場合
では、感情が先行した進路選択はどうでしょうか?
たとえば、ゲームが大好きだからゲームの会社に入りたい!服・ファッションが好きだからアパレルに!と話してくれる子がいます。
最近だと「好きを仕事に!」なんていうキャッチコピーが流行っていますし、好きなことを仕事にできたら幸せそうですよね。
ただ、彼らに言いたいことは、
「ゲームや服の何が好きなのかよく考えてごらん?」
ということ。
彼らは、「服が好き」といいますが、大半の人は「服を買う・着るのが好き」なんですよ。これは必ずしも「服を売るのが好き」と同じではない。
大体アパレル関係に就職すると、最初は売る仕事ですからね…。
ゲームに関してもそうで、「ゲームをプレイすること」と「ゲームを作ること」はまったく違うことです。
ゲームが大好きだからゲームについて勉強したいし、ゲーム会社に入りたい!と考える人はいますが、ゲームが好きというのはたいてい「プレイするのが好き」で、「作ること、売ることが好き」かどうかはわからない。
プレイした体験しかない人は、作ることや売ることを好きになれるかどうかはわかりませんね。
消費するのが好きなのと、生産するのが好きなのは全く別物。
このように「好き」の対象がずれていると、就職で苦労します。あるいは入社してからギャップを感じて「こんなはずじゃなかった」と落胆する可能性も。
ゲームについては、 ゲーム制作関連の仕事をしている人にも詳しく聞いたので、そのことについて記事にしました。
▼ ゲーム制作関連の仕事をしている人に聞いた、ゲーム会社に就職する方法
認知が先行した場合
認知とは「自分にできそうだ」と思えるとか、「自分に価値がありそうだ」と認識していることでした。
この視点で選ぶということは、自分にできそうなことや、社会的に価値がありそうなを選ぶ場合です。要するに現実的な視点で進路を選ぶ人ですね。
英語が得意だから海外で働きたいとか、英語を活かした仕事がしたいという人は「認知」重視で選んでいるかもしれません。
あるいは、学生時代になにか特殊な体験をして、その体験を活かしたり、啓蒙したいと考える人もいますよね。
学生さんだとあまりこういう選び方をする人は多くないですが、社会経験をある程度積んでいる人だと「自分にはこれができそうだ」「この方法で貢献しよう」と考えることも増えます。
大体の場合、得意なら「好き」でもある場合もあるので問題ないですが、得意だけど全く好きではないとか、向上心がないとしたら…やりがいを感じられるのでしょうか?
「自分にできることを基準にする」「価値あることを仕事にする」のは一番合理的ではありますが、その考え方がすぎると「やりがい」を置き去りにしてしまうリスクがありそうです。
このように、進路を考える時は、「やる気の3要素」に照らしあわせて考えてみてください。
弁護士になるか迷っている学生さんの場合
先の「弁護士になるか迷っている」学生さんの場合ですが、学生のうちから士業に興味を持つ子は傾向として弁護士になって経済的自由を得たいという「欲求」が先行して、「感情」「認知」の部分があいまいになりがちです。
先の生徒さんも、弁護士の仕事内容についてもあまり仕事内容についてもあまり理解しておらず、イメージも湧いていない様子。「弁護士ってなんかカッコいいし稼げそう」レベルでした。
「凶悪犯を弁護するなんて絶対ムリ、私口下手だし」という認知もありました。
おそらく大きな刑事裁判の話をしているのですが、弁護士が弁護するのは凶悪犯だけではないし、裁判は刑事裁判だけではなく民事裁判もあるし、そちらを専門とする弁護士もいますよね。
さらに、いざ法律の難しい文章を見たとき、「なにこれ難しそう」と思ったこと、それが迷いの最大の原因でした。
もし、弁護士をめざすなら、
- 法律の勉強を好きになれそうか、多少は楽しめそうかどうか
- その勉強を続けていけそうか
- 本当に「口下手だから無理」なのか
このあたりを再検討する必要がありますね。
別に法律大好き、趣味にしたいレベルにまでしなくていいですが、多少面白いと思えるかどうかは大切。
それから、オープンキャンパスや職業体験などで「自分にもできそう」と思えるとなお良し。
近くに法律関係の仕事をしている人がいるなら、話を聞いてみるのもいいですね。どうしても社会経験が少ないので、イメージがあいまいだったり、間違っていたりするのは避けられません。
実際に働いている人の話を聞くことで、イメージをより鮮明なものにできます。
情報収集
というわけで、弁護士になるか迷っている生徒さんの場合「欲求」が先行し、「感情」と「認知」が置いてきぼりになっていることがわかりました。
なので、この二つについて丁寧に情報収集をして、どんな感じか確認するといいですね。
現代は情報がたくさんあふれているいい時代です。YouTubeなどの動画配信サイトにいけば弁護士ユーチューバーみたいな人もいるし、司法試験勉強法!みたいな勉強法を配信している人もいます。そういうものをとりあえず見ればきっとイメージも湧くでしょう。SNS上にも探せば大概の職業の人が見つかるはず。ぜひ情報収集をしてみてください。
進路に迷って勉強のやる気をなくしたら まとめ
- 勉強のやる気の三要素は「欲求」「感情」「認知」
- そのうちの1つだけを考えた進路選択は、途中で迷いやすい
- たとえば「欲求」だけを考えて進路を選んだなら、ほかの二つについても調べたりして考えを固めておく
大体途中で迷いが発生したり、「こんなはずじゃなかった」とか言い出す人は、残念ながら考えが足りていません!!!
でも何をどう考えたらいいかよくわかりませんよね?私も学生時代、そうでした。
だからこそ、このように3つの要素から自分の進路を考えてみることをおすすめします。どこかが足りないと思うなら、できるだけ早く再検討や情報収集を!
あなたの将来、大事な進路選択です。失敗のないように、途中で迷ってしまわないように、これらの3つの要素を意識してみてください。
以上、横浜プロ家庭教師佐々木(@kateikyo_megumi)でした!