こんにちは。横浜・鎌倉のプロ家庭教師 佐々木です。
中学生の息子さんをお持ちのお母様から、こんな質問をいただきました。

中学生の息子が全然勉強しないんです。
最近は部活で帰りが遅いので塾には行きたがりません。とはいえ自分で自発的に勉強するわけでもなく、疲れていて勉強まで手が回っていないような感じに見えます。
小学生までは、勉強するよう促してきましたが、やってもダラダラ教科書を読んだりするだけでイライラしますし、ケンカにもなってお互いに良くないので、もういい年齢だからと放っておくことにしました。
ですが、やっぱりこのままでは良くないように思います。 部活で帰りが遅いとはいえゲームしたりスマホする時間はあるようですし、親として何かできることがあれば教えてほしいです。
子どもが勉強しない。帰りが遅くて塾などにはいけないけれど、自宅でもう少し勉強できるようにしたい。そのための環境づくりが必要ですね。
放っておいても勉強するようにならない
放置しても、お子さんは勉強しません。
なぜなら、勉強って不自然な行為だからです。
お腹がすいたからご飯食べる←わかる
眠いから寝る←わかる
寒いから服着る←わかる
勉強したいから勉強する←!?
このように、行動を起こすための欲求がないんです。
もちろん「勉強楽しい!勉強したい!」という人もいますが、彼らは「勉強は面白い」と気づけた、つまり悟りを開いた人たちです。
そんな彼らでも、ゲームとかマンガとか娯楽を出されたら興味を惹かれるもの。そっちをしたくなることだってある。つまり、必要性はあっても欲求はほぼない。
何が言いたいかというと、人間が「勉強したい」と思う瞬間なんてほとんどないです。本能に忠実な子供なら、なおさらです。
そのため、「勉強しない人を放置する」放置したらそのうちやる気になるという、「自主性に任せよう作戦」はだいたい失敗に終わります。
親にできることは環境づくり
勉強しない子どもを放置するわけにもいかないし、勉強するように促せばケンカになってストレス倍増。こうなったらどうすれば子どもは勉強をするようになるのでしょう?親にできることがあるならしたいですよね。
特に中学生くらいの子どもの勉強のために親御さんにできることは、「勉強するための環境づくり」です。学習環境を整えて、勉強がしやすいようにサポートしましょう。
そのヒントのひとつは、「生活の一部に組み込む」ことですね。
そのために有効な方法をいくつか紹介します。
①ルーティンを作る
ルーティンとは、決まりきった日々の作業のことをいいます。
五郎丸歩選手のポーズでこの言葉の認知度が上がりましたよね。
キックの前にするあのポーズです。
何かをする前後にある行動をする、これもルーティンです。
勉強も、ルーティン化してしまうのがおすすめ。
夕飯の前は勉強タイム。
好きなテレビ番組の前に宿題をやっつけるタイム。
(いまだと好きな配信者さんが動画アップする前、とかなのかなあ)
このように、日常生活の中で「勉強する時間」を決めて、生活に組み込みましょう。
例えば、
「勉強してから夕食を食べる」
「その日の課題を終えてからお風呂に入る」
「予習復習を終えたらスマホで遊んでいい」
「宿題をやり切ったらゲームできる」
みたいに、勉強→何かする、あるいは何かする→勉強、というふうに日常生活に勉強を組み入れてみましょう。
先ほど書いた通り、子どもは放っておくと勉強しない生き物なので、「勉強→ごほうび的な何かをする」タイムスケジュールにした方がうまくいくと思います。
②動線をつくる
ルーティン化する上で大切なのが、動線づくりです。
「帰ってすぐに宿題をする」ルーティンにするのなら、帰ってすぐ勉強場所に行って、座って勉強を始められることが大切ですね。
ダイニングで勉強する場合、もしダイニングにゲーム機やスマホが置いてあったらどうなるでしょうか?
とりあえず座って、
なんとなくゲームに手を出して、
スマホを触って・・
こんな動線ができてしまいます。これはもう人間の性です。だから、勉強する場所にそういう誘惑を置いておくのをやめましょう。
ダイニングで勉強するなら、ゲームやスマホではなく、筆記用具などの勉強セットを置いておきます。
ダイニングに勉強セットがなく、「自分の部屋から持ってきて勉強」だと、どうしても面倒になります。だから、ダイニングですぐに勉強できるように、勉強するための道具を置いて、パッと取り出して勉強を始められるようにしましょう。
勉強を始める前の動線に障害物があると、そちらに気を取られてしまいます。誘惑に打ち勝つためにも、勉強場所にそういうものを見ない置かない!が大事。
家に帰ってきてすぐ勉強するなら、すぐに勉強を始められるように環境を整えておくことがとても大切です。
③勉強の指示は具体的に
勉強するように促しても、勉強を始めるのは結構難しいもの。
「勉強しなさい」と言われても、何をやったらいいかわからないので「何をするか決める」というタスクが発生します。タスクが増えれば面倒になるのが人間の性なんです。
例えるなら、「お腹すいたから何か作って」って言われるとどう思いますか?「何かってなんだよ」って思いません?献立を考えるのって結構面倒ですよね。
でも、「チャーハン作ってよ」と言われれば、献立を考えなくていいので、「はいはいチャーハンね」とすぐにフライパンを持って調理を始められたりします。このように、「なんでもいいからやって」という指示は相手にとっては結構面倒なもの。具体的に言われればできるということも多いんです。
そこで、勉強するように言う時は、
「夕食の前に学校の宿題を終わらせる」
「お風呂の前に塾の課題をやっておく」
「ゲームの前に数学の問題集を5ページ解く」
このくらい具体的に伝えましょう。
まとめ
・放っておいても人間は勉強しない
・「食事の前に宿題」のように、勉強を日常生活に取り込む
・勉強の動線を組み立てる。間にゲームなどの誘惑物を置かない
・勉強について指示を出すときは具体的に
勉強しなさいと怒っても逆効果、それなら放っておこう・・と考える方は多いです。ですが、放っておいても勉強をするようにはなりません。なぜなら、「勉強」はある意味自然に逆らった行動だからです。お腹が空いたら食べる、眠くなったら眠るのは自然だけれど、「勉強したいからする」というプログラムは人間には今のところ存在しません。
なので、 忙しい中で勉強をするなら、誘惑になるようなものは取り除いて勉強するための動線を整えて、日常生活のルーティーンに組み入れることが大切です。そして「やりなさい」と言う時は具体的に。
そういった学習環境を整えることは親御さんにできる有効な策です。子どもがダラダラして勉強しないときは、ぜひ試してみてくださいね。