こんにちは。横浜・鎌倉で活動するプロ家庭教師 佐々木(@kateikyo_megumi)です。
家庭教師先の親御さんからも、お子さんの勉強嫌いに関する相談は後をたちません。今日は中学生の勉強嫌いのお子さんをお持ちの親御さんからの相談です。
うちの娘が全く勉強しません。小学生の頃は勉強をしていたのですが、中学生になってからはほとんど勉強しなくなりました。親がやるよう言っても喧嘩になるばかりです。
前は自分でやっていましたが、なぜこんなに勉強をしなくなってしまったのか・・。原因や対策が何かあれば教えてください。
勉強嫌いのお悩みは年齢問わず、多くの人が少なからず持っていると思います。
ただし、生まれた時から勉強が嫌いだという人はほとんどいません。あなたもきっと、小学校に入ったばかりの頃は楽しく本を読んでいたり、楽しく勉強していたりしたのではないでしょうか。
つまり、多くの人は人生のどこかのポイントで、何らかの理由で勉強が嫌いになってしまったんです。
では、どうして人は勉強を嫌いになるのでしょうか?
本記事では、勉強嫌い専門の家庭教師として、勉強嫌いの学生さん500人以上と向き合ってきた経験から分かった、子どもが勉強を嫌いになるおもな原因と対策について紹介します。
大きく分けると「勉強内容に関する原因」と、「勉強に関係がない原因」に分けられます。それぞれについて考えてみましょう。
勉強嫌いになる原因:勉強内容に関する原因
勉強嫌いになる理由、第一位はズバリ「勉強がわからない」ことでしょう。
勉強内容でつまずいて勉強が嫌いになる人が大半です。つまり勉強がわからないことがきっかけになり、勉強を嫌いになってしまう、ということですね…。
勉強がうまくいかないと、勉強することがつらくなり、勉強をどんどん嫌いになっていきます。
反対に、これらの原因で勉強が嫌いになっていた場合、うまくいっていない部分を解決すると、勉強に対してやる気を見せることもあります。
勉強嫌い原因① 理解ができない
学んでいる内容が理解できていないと、勉強が嫌いになります。
人間の脳には、わからないものや得体の知れないものを意識的に避けようとする作用があります。学んでいる内容がわからないとか、何を勉強しているかがわからない状態は、とてつもない苦痛ですし、ストレスになるんですよ。
またまた例え話です。ちょっと、こんな状況を考えてみてください。あなたが夜道を歩いているとしましょう。
あなたは夜道を歩いています。
人通りのない道なのに、どこからか、コツコツと足音が聞こえます。そしてその足音が、
コツコツ
コツコツコツ
コツコツコツコツ…
と、だんだん、近付いてきます。
想像してみてください。どんな気持ちでしょうか?
正直、めちゃくちゃ怖くないですか!?!?!?
得体の知れないものはとにかく怖いし、避けたくなるもの(たとえその足音の主が友だちだったとしても)。
学生さんの場合、当然ですが、学年が上がるごとに学習内容は高度化し、授業もスピードアップします。
1日の大半にわたって、「何を言っているのかわからない授業」、「理解できない言葉」を聞かされるのであれば、相当なストレスが溜まるのも無理はないですね…勉強コワイ。
ちなみに、あるデータによると中学生の半分は教科書を理解できていないとか。恐ろしや。これでは勉強嫌いな人がたくさんいるのも無理はないですね…。
対策
もし、理解ができないせいで勉強が嫌いになってしまったのなら、
・理解できなくなったところまで戻る
・復習する
・予習をして授業を理解できるようにする
等が効果的です。わからないことは放置せず、早めに対策しましょう。
勉強のわからないことは虫歯みたいなもので、放っておいても治らないし、気がついたら成長していて大変なことになります。
お子さんの勉強で「あれ?」と思うことがあったら、とことん調べてみるとか、わかりやすい教材を使って勉強しなおすなどの対策が必要です。
ご家庭での対策が難しければもちろん塾などの学習機関を使うのもあり。
簡単な参考書や動画なども効果的です!
勉強嫌いの原因② やっても成果が出ない
「聞いても理解できない」以上に深刻なのが、「やってもできない」状態です。
こちらも、想像してみてください。
テスト前に遊びに行くのを我慢し、ものすごく頑張って勉強して、前日は一夜漬けして勉強して、テストに臨みました。返ってきた結果は、過去最低点でした。
過去最高点でありません。過去最低点です。
さて、この状況、あなたはどう思いますか?
この状況下で、「よし、次もがんばろう!」なんて思えますか?
私だったら「もう二度と勉強なんかしない!」と思ってしまいます。数日部屋にこもって出てこないくらい落ち込むかもしれません(泣)。
がんばっても成果が出なかったら、子ども心は傷ついてしまうでしょうし、次は大丈夫!なんて前向きに思えるはずがありません。
さらに、ちょっと専門的な話になるのですが、教育心理学に、学習性無力感という考え方があります。
学習性無力感とは、一度「自分にはできない」ことを知ってしまうと、もう努力をしなくなってしまうという心理状態のことです。アメリカの心理学者であるマーティン・セリグマンらが10年間近くの研究をもとに発表した理論で、「何をしても意味がない」と思い込んでしまうと、たとえそれが苦しい状況であったとしても、逃れようとする努力すら行わなくなるという考えです。
心理学豆知識「学習性無力感」より
「いやな体験をした時に、自分でそれを対処できないと、『自分はダメ、できない』ことを学習して無力感に陥ってしまうという」という理論です。
人間にとって一番つらくて怖いのが、「頑張ったのにできなかった」という状況なんですよね…。
ひとたび「頑張っても無理だ!」と思ってしまうと、嫌になって努力をやめてしまいます。そして勉強嫌いまっしぐら。
もし、お子さんがもともとは勉強が好きだった、あるいは勉強をきちんとする子だったのにやらなくなったのであれば、この「学習性無力感」かもしれません。
対策
もし、一生懸命勉強しているのに成果がでないとしたら、
・そもそも目標が高すぎる
・勉強法が合っていない
この可能性が高いです。
本ブログには勉強法の記事も多数ありますので、勉強しているのに成果が出ない人は勉強法を考えてみてください。
頑張っているのに成果が出ないのは、勉強のやり方が間違っているのが原因かも・・?
勉強嫌いの原因③ 学ぶ意味や目的が理解できない
こんなことを学んで、将来なんの役にたつの?
夢や目標がない。勉強したくない
こんなセリフ、一度は口にしたことがありませんか?まわりの人が言っているのを聞いたことがあるかもしれません。
このように、学ぶ目的や意義がわからないと勉強に身が入らない人もいます。
大人の勉強は、資格をとるため、社会での昇格のためと、目的が定まっている場合が大半かもしれませんが、中には「人から言われて、仕方なくやっている」という人もいるかもしれません。
人間は、自分のしていることに意味、意義を求めます。
何か行動するとき、自分の能力アップのためになるとか、誰かが喜んでくれるとか、そういうポジティブな何かを求めてしまうのです。
意味の分からない作業をしたって頭には入りませんし、苦痛になります。目的が見えない作業は、当人にとっては「無駄」なものにしかならないのですね…。
勉強は結果がすぐに出るわけではありません。特に学校の勉強って、やったらすぐに成果が出るタイプのものではないですものね。結果が見えにくいから無駄に思えて、勉強を嫌がるのも無理はないのです。
対策
ただし、「勉強する意味がわからない」という人には2タイプいます。ひとつは、「なぜ勉強が必要なの?」と純粋に疑問に思っているタイプ。
もう一つは、「勉強なんてしたって意味ないし」と斜に構えているタイプ。
純粋に疑問に思っている人には、きちんと話をしないと納得しませんし、不信感を強めることになるので真面目に向き合ったほうが良いですね。
「勉強なんて意味がない」と斜に構えているタイプは、実は負け惜しみを言っているだけで、本当は勉強がうまくいかずに悔しい、悲しい気持ちからこんなことを言っている可能性も…。
勉強への自信を失っているその気持ちを汲みつつ、勉強は大切なことだと教えてあげるアプローチが必要です。
なんのために勉強するかという問いには真剣に向き合いましょう。
勉強嫌いの原因:勉強内容に関係がない原因
勉強内容以外でも、勉強を嫌いになることはあります。こちらは「勉強内容に関係がある理由」に比べると少ないですが、子どもならではの原因もあるので考慮に入れておく必要があります。
勉強嫌いの原因④ 先生が嫌い
先生が嫌いだと、勉強が嫌いになります。
小学生で担任の先生が嫌いだと、担任の先生がほぼすべての教科をみるので、すべての教科が苦手になる恐れがあります。
子どもっぽい理由だと思うかもしれないのですが、子どもにとって先生の存在はとても大きいです。
先生とは1日のうちのほとんどの時間を過ごすことになるので、先生が嫌いとなると、授業を聞く気が失せ、授業をきちんと聞かなくなり、聞かないから内容がだんだんわからなくなって「わからないから嫌い」に進化する可能性があります。
対策
ひどい先生に当たってしまう場合もあります。単にお子さんと先生のとの相性が悪い場合もあります。学校であれば先生を選ぶことはむずかしいので、悲しいですがある程度は仕方ありません。
そして、子どものその気持ちを頭ごなしに否定せず、どんなところが嫌いか、苦手なのか、じっくり聴いてみてください。
そういう話ができることはお子さんの安心感につながります。
ひどい先生に当たってしまう場合もあります。単にお子さんと先生のとの相性が悪い場合もあります。学校であれば先生を選ぶことはむずかしいので、悲しいですがある程度は仕方ありません。
そして、子どものその気持ちを頭ごなしに否定せず、どんなところが嫌いか、苦手なのか、じっくり聴いてみてください。
そういう話ができることはお子さんの安心感につながります。
ただし、先生が嫌いだからといって勉強しなくていい免罪符にはならないので、そうは言っても勉強はしないといけないことは伝えましょう。
もしこの原因なら、親が先生と話し合うのもいいですが、それ以上に味方になってくれる先生を探したり、仲の良い親戚や先輩に手伝ってもらう、家で予習復習をするなど、早めに対策をとりましょう。
先にも書いた通り、子どもにとって学校の先生の影響力は大きいので、他に味方になってくれる大人がいる安心感が勉強への悪影響を小さくします。
先生の愚痴が出ても否定せずに聞いてあげてみてください。
勉強嫌いの原因⑤ やらされ感に対する反発心
勉強しなさい!
今やろうと思ってたのに!
こんなやりとり、経験ありませんか?アニメでもよくある光景ですね。
命令されると、とたんにやる気をなくすアレです。きっとあなたにも経験があるはず。
命令的な言い方をされると反発心が生まれるのは、「心理的リアクタンス」と呼ばれる現象です。心理学でも立証されています。
心理的リアクタンスとは、自分の意見や行動を他人から強制されたり制限されたりしたとき、反発して自分の意見に固執したくなることをいいます。とくに反抗期の子どもによく見られます。心理学者ブレームは、説得への抵抗は自分の態度や行動の自由を守るために生じるとしました。
人から言われて何かをすること、自分の意志で動けないこと、すなわち「やらされてやること」は強いストレスになります。
特に、反抗期に入ってくる小学校高学年~中学生くらいになると、親や社会に対する反発心が生まれてくる子がいます。
反抗期ですね!
その影響から、「勉強なんてカッコ悪い」「人から言われてやるなんて面白くない」と、勉強から遠ざかってしまう子がいます。
人間は大人になればなるほど「自分のことは自分で決めたい」と思うものなので、あれをやれ、これをやれ、と命令されて自分の意志で動けないと感じたとき、人はその対象を嫌いになります。
対策
お子さんに過度なプレッシャーをかけていませんか?
「勉強しなさい!」と言えば言うほど子どもの心は勉強から離れます。勉強しなさい!は命令形で強制なので反発を生みやすいです。これ以外のソフトな表現でお子さんを勉強に向かわせましょう。
たとえば、「勉強しなさい」ではなく「今日は数学と国語のどちらを勉強する?」という聞き方にした方が子どもは勉強に取り組みやすくなります(これを心理学で選択話法といいます)。
その他詳しい方法は 「勉強しなさい!」よりも効果がある声掛けで紹介していますのでぜひご覧ください。
「勉強しなさい!」は反発のモト!
言い方を変えるとストレスが減りますよ!
勉強嫌いの原因⑥ ストレス
日常生活へのストレスから、勉強を嫌いになる人もいます。
嫌いになるというより、勉強するエネルギーがからっからに枯渇している、といったほうが近いかもしれません。
勉強とは知的活動です。カッコいい言い方をしましたが、要するに「アタマを使う作業」じゃないですか。アタマが疲れ切っちゃっているときって、どんなに頑張っても、勉強できないんですよ。
勉強に取り組むには体力と気力と集中力が必要です。
両親が毎日ケンカをしている、離婚問題のさなかにある、いじめにあっている等、心に悩みを抱えていてエネルギーがカラカラな状態では、心が勉強に向くはずがありません。問題を抱えている人は、勉強に集中できるほどの、こころとからだの余裕がないのです。
ごくたまに、そのストレスを勉強に向けて、勉強するきっかけを掴む人もいますが、超激レアケース。まずは安心して学べる環境づくりが先ですよ!
対策
いままで勉強をきちんとしてきたのに、突然勉強しなくなるなら、何かトラブルを抱えているかもしれません。疲れている人は無理せず休みましょ!!!
勉強が嫌いになる原因まとめ
- 子どもが勉強嫌いになる原因は「勉強内容に関する原因」と「勉強に関係ない原因」
- 勉強に関係のある原因なら、復習や勉強法を変えるなどの対策を!
- 勉強に関係のない原因もある
このように、勉強嫌いが起こる理由は人によって様々です。
いずれか一つの場合もあれば、複数が絡み合っている場合も当然あります。まずは、自分自身あるいは子どもが勉強嫌いになってしまった理由がどこにあるのかを考えてみてください。解決のいとぐちが見えてきます。
以上、佐々木(@kateikyo_megumi)でした!
◆解決策を知りたい方はこちらもお読みください!
▼ なぜ子どもは勉強しないのか?勉強しない原因と対策をタイプ別に解説