こんにちは。横浜・鎌倉のプロ家庭教師 佐々木(@kateikyo_megumi)です。
今日は中学生のお子さんをお持ちのお母様からこんな相談をいただきました。
中学1年生の子どもがいますが、子どもがまったく勉強しないんです。
勉強しなさいと言って勉強を促すとすぐケンカになりますし、「勉強しなさい」と子どもに言うのは勉強嫌いになるとか、よくないと聞いたので言わないようにして、少し放っておいてみることにしたのですが、やっぱり子どもが勉強する様子は見られないです・・・。
このまま何もせずに放っておくのは不安です。とはいえ「勉強しなさい」と強く言ってまたケンカになるのも嫌ですし、私自身もイライラしたくありません。
何かいい声かけはありませんか?
子どもが全然勉強しない!これは本当に困りますよね。
特にお子さんが反抗期に入っていると、「勉強しなさい!」と言うと、「うるさいな!今やるつもりだったのに!」と反発されてしまい、ケンカになったりします。これではお互いにストレスが溜まりますよね・・・。
ただ、子どもが反抗するのにはちゃんとした理由があることが多いんです。
そこを理解して、適切な声かけをすることで、ケンカも減り、少しずつお子さんが勉強に向かうようになるかもしれません。
そこで今回は、「勉強しなさい!」が効かない理由と、もっと効果のある言葉を8つご紹介します。
「勉強しなさい」が効かない理由
中学生くらいのお子さんをお持ちの方は、「勉強しなさい!」という言葉で子どもが勉強しなかった経験を一度や二度、いやもっとあるかもしれません。
この言葉はどうしても効果が薄いですし、下手をするとケンカになることもあります。それはなぜなのでしょうか?
反抗期
中学生くらいになると反抗期ですし、親の言うことには何でも反発したいものです。まあそれも親離れのための大切なステップではあるのですが、だからと言って勉強しないのは困りものです・・・。
心理的リアクタンス
しかも、心理的リアクタンスといって、「やれ」と言われるとやる気が失せるという心理法則があります。リアクタンスとは「抵抗」。命令されると抵抗、反発したくなるものです。多感な中学生なら、なおのこと。
だから「勉強しなさい」と言われるとやる気をなくしてしまうんですね…。
勉強しない子どもに効く声かけ
そこで、勉強しない子どもには「勉強しなさい」ではなくて、こう伝えてみてください。
勉強しない子どもに効く声かけ①「どちらにする?」
「勉強しなさい」では反発するなら、同じようなことを別の言い回しで言う必要がありますよね。そこで有効なのが心理学的の「選択話法」というテクニックです。
選択肢を用意して、それを選ばせる方法ですね。
例えば、
「今日は国語をやる?それとも数学?」
「宿題はいつやる?夕食前?それとも夕食後?」
人間とは面白いもので、疑問を投げ掛けられるとその答えを探すようにできています。
「国語か数学か」と聞かれたら「じゃあ数学」と言うしかないんですよ。
「しない」という選択肢は最初からありません。用意してはいけません。「勉強しなさい」と言えば「する・しない」の二択になるので、「しない」と言ってしまうんですね。
しかも、この方法のミソは「選んでもらう」こと。
これも心理学ですが、人間には一貫性の法則というものがあって、自分の発言に一貫性を保ちたい心理が働くんです。「数学をやる」と自分で言ってしまったら、一貫性を保つために「やらないといけない」。自分の言葉に責任を持たないといけない気持ちになるんです。
さらに、命令されたからやるのではなく、「自分で決めてやる」ので、子どもの自尊心を保つこともできます。人に何かをしてもらいたい時は、「する・しない」ではなく「どちらにする?」と質問するのが基本です。
これは家事をしない夫にも有効な方法で、「お皿洗ってよ!」ではなく「お皿洗いと洗濯物干すのとどっちがいい?」と聞けばお皿洗いをやってもらえる確率が上がります。
勉強しない子どもに聞く声かけ②「ドリルの○ページ」
人間は、ざっくりとした言葉で「やれ」と言われても動けません。具体性が欠けていると、何をすればいいのかわからなくなってしまい、動きたくても動けないのです。
例えば、ご主人に「掃除しなよ」とか「片付けてよ」とか言われても、何をやれば不明瞭ですよね。玄関をきれいにしてほしいのか、台所が汚いよと指摘しているのか。その意図が伝わらないと、すごく腹立たしく感じたりします(笑)。
でも、「流しにゴミが溜まっていたから掃除しておいてくれない?俺はその間にお風呂洗うから」と言われれば、あ〜流し掃除しなきゃな・・と思いませんか。
このように、人に何かをしてもらいたい時は、具体的に言葉をかけるのがコツです。
人間って自分で考えないといけないことを「面倒くさい」と思う習性があるんです。「勉強しなさい」だと、「何を勉強するか」自分で考えて準備しないといけないですよね。これって結構面倒です。
だから、
「漢字ドリルの宿題はできた?」とか
「数学の方程式が難しいって言ってたけど大丈夫だった?」とか、
それでもダメならもっと具体的に「英語ドリルの10ページをやろう」と言ってあげれば意外と動き出してくれます。
子どもが動き出さないのはあなたの問題ではなく、具体性の問題です。言葉がざっくりしているせいなので、具体的に数字を入れて伝えてあげてください。面倒くさがりのお子さんも動き出しやすいはずですよ。
▽参考記事 宿題をなかなかやらない子どもを動かすコツ
勉強しない子どもに効く声かけ③「5分だけ」
勉強の何が一番大変って、始める時が一番大変です。最初の一歩を踏み出すのがとても難しいですよね。「面倒くさい」と戦って、自分を奮い立たせて、打ち勝って勉強を始めないといけないので…。
だからこそ、楽に勉強を始めるためには、障害をできるだけ小さくすることがポイントなんです。子どもに勉強するよう促すなら、「1時間勉強しなさい」と言ってはダメで、「5分でいいからやろう」と言ったほうが気楽に始められます。
たった5分では何も変わらない!という意見もありますが、この言葉の目的は「とりあえず始める」ことにあります。
一度始めてしまえば、意外と波に乗って始められてしまうもの。最初の面倒な気持ちを取り除き、最初のステップを踏み出してもらうことが重要です
これは勉強だけでなく、家事にも言えることなんです。
お皿洗いって面倒じゃないですか。シンクにたまったお皿を見ただけでゲンナリしますよね…。そこで「仕方ない、1枚だけ洗ってやるか」と決めて1枚だけ洗ってみてください。そうすると、気持ちが乗ってきて2枚、3枚…と洗うことができちゃいます。
これと同じで、「とりあえず5分」とか「今日はプリント1枚」というように、すぐに取り組めそうな課題を提示してあげると始めやすいです。
勉強しない子どもに効く声かけ④「よーいドン」
お子さんが勉強しないでダラダラしている時は、タイマーを取り出して、
「よーいどん」
と言ってタイマーを発動し、お子さんの目の前に置いてやりましょう。
不思議なもので、それまで「絶対に勉強してやるものか」みたいな顔をしていた子も、タイマーをスタートさせるとなぜか勉強に向かいます。
先ほどの「具体的に指示をする」という方法との合わせ技ですが、目の前にドリルや問題集などの課題を提示して、さらにスタートボタンまで押してしまえば、これはもうやらざるを得ません。
自分では全然勉強しない子には、「毎日20時は勉強タイム」と決めて、20時になったらすぐに問題集を手渡して「はいスタート」と強制的に勉強開始してしまうのも一手です。
それを根気よく続けて習慣化すれば大きく変わるでしょう。
実際に私もこの方法はよく使います。勉強したくない生徒さんがだらだらおしゃべりする時は、「よーし今から5分計算してみようね!よーいドン」でタイマーを押します。結構やってくれます。子どもがダラダラして勉強しようとしない時は試してみてくださいね!
勉強しない子どもに効く声かけ⑤「頑張ってるね」
子どもが、勉強せずにダラダラ自室にこもっていたら、お茶菓子を持って「頑張ってるね」と差し入れましょう。
子どもが部屋にこもっていたら、何をしているのか気になりますよね。
自室に乗り込んで、「勉強しなさい!」なんて言おうものなら「今しようと思っていたのに!」と返されるのが目に見えています。
そういう時は、「頑張っているね」と言いながら、ココアでも出してあげて下さい。
飲み物はココアがベストです。お茶ではなくココアです。たくさんのご家庭にお伺いしていますが、男女ともに、皆ココアが大好きなのです。
そう言われたら、今勉強していなかったとしても、勉強をやるしかありません。
あるいは、「今日はどのくらいできた?」でもOK。
「すでに勉強している」前提で話し、ごほうびを先に与えてしまうことがポイント。
こう言われたら、逃げられませんん。
(ただし、責任感の強い子、プレッシャーに弱い子には強すぎる言葉なのでお気をつけ下さい。まあそういう子ならとっくに勉強の必要性に気付いて勉強しているはずですが)
勉強しない子どもに効く声かけ⑥「一緒に勉強しよう」
それでも勉強しない子どもに対してはこれです。
勉強ってやっぱり大変なんです。勉強がすでに得意な子でも、勉強はつらい時があるくらい、勉強は大変。
特に、勉強をなかなかやらない子どもは、勉強しようにも何から始めたらいいかわからなかったりもします。きっかけがつかめないのです。
そういう時にどういう言葉が必要かというと、上から命令するでもなく、下からお願いするでもなく、対等な目線での言葉です。
もしあなたの友人が、勉強で悩んでいたら、どうしますか?
一緒に勉強しようと声をかけますよね?
それと同じ感覚です。
子どもと友人は違うという異論はあると思います。でも、本当に勉強してほしいなら、そういう対等な立場で接してあげると全然違いますよ。
勉強しない子どもに効く声かけ⑦「やらなくていいよ」
ここからは少々ハードモードです。
ここまで、心理学的なテクニックを駆使して様々な方法をお伝えしてきました。これらを実践しつつ勉強を促して、それでもダメだった時は・・かなり辛口で言ってあげないといけません。
正直、ここまでしても勉強しないんだったらもう相当危険です。その子の将来に関わりますから。甘ったるいことはもう言ってられません。
勉強しない子には「やらなくていいよ」と言って突き放しましょう。「勉強しなさい」と言うから、反発します。やりたくないと思うのです。
それならば、あえて「しなくていい」と言ってやりましょう。
そんなことを言ったら余計に勉強をやらなくなりませんか?
今まで、散々「勉強しなさい」と言われている子どもは、ある意味「やれ」と言われるのが心地よかったり、言われるのをを待っていたりもします。もはやそれがコミュニケーションと化しているところがあるんですよ。
自分から自発的にやるのは、とても苦しいものです。言われてからやるほうが、心理的にはラクなもの。
ご安心ください。勉強しない子どもでも、勉強の必要性はわかっています。いつかやらないといけない・・・とは心のどこかでわかっています。
でも、できない。まあ人間なんてそんなものでしょう。
ただし、勉強しなかったときに起きる「よくないこと」の責任は自分で取ることも伝えてあげてください。
例えば成績が下がるとか、補習に引っかかって休日に学校に行かないといけなくなるとか、部活ができなくなるとか、進級できなくなるとか。
それでも構わないならそのままでいればいいし、それが嫌なら自分で行動を起こす必要があります。
いきなり突き放されると、子どもは考えざるをえません。
勉強しない子どもに効く声かけ⑧「自分で決めたらいい」
勉強するしないは自分で決めるように、「自分で決めたらいい」と言ってさらに突き放します。
こう言われたら、子どもはもう自分で考えるしかありません。
実は、「勉強しなさい」と言われている子どもは、ある意味、大人に甘えているとも言えます。
中学生くらいなら、物事の善悪は自分で判断できるはず。
「やりたくないから勉強しない」
「もう自分は勉強しない」
というわがままは通用しないことなんてわかっているし、そんなわがままを通そうとする人は少ないです。
つまり、子どもたちは勉強について自分なりに考えて、何かしらの結論を出すことになります。
もう、こう言われたら嫌でも、将来のことについて、自分の成績のことについて考えざるを得なくなります。
勉強しない子どもに効く声掛け まとめ
勉強しない子どもに効く声かけを紹介しました。もし使えそうなものがあればぜひ使ってみてください。
勉強のことでイライラ過ごしたり、毎日のようにケンカするのはとてもしんどいことですよね。私もこの仕事を始めたばかりの頃はイライラモヤモヤの連続で「勉強しなさい!」と強く言ってしまったこともありました。
でも、言葉の選び方を変えることで、生徒さんとの関係性も徐々に改善し、勉強に消極的だった子達も勉強に向かってくれるようになりました。
本当に勉強しない子どもには、この声かけを通じて、自分で考えられるように背中を押してあげましょう^^
以上、横浜プロ家庭教師佐々木(@kateikyo_megumi)でした!