こんにちは。横浜・鎌倉プロ家庭教師 佐々木(@kateikyo_megumi)です。
さて、今日はギター部の女性生徒さんからこんな質問が届きました。
私はギター部なんですけど、後輩の指導係をやることになってしまいました。
うちの部は初心者歓迎なのでギターを弾いたこともない子が結構入ってくるんですけど、初心者に教えるのって難しくてどうやったらいいかわかりません・・・。
部員が少ない部活だし、あんまり厳しくするとやめちゃいそうで心配です。できるだけ楽しく教えたいんですけど、どんなことに気をつけたらいいですか?
新人・初心者に教えることになってしまったそう。それは大変だ!
中級者が初心者に教えるとなると、何をすればいいかとか、どう教えればいいかとか、なかなか難しいですよね。
厳しく教えたらなんとかハラスメントになりそうで心配だし。教える人は色々と気を遣います。
初心者や新人に教える時には、ここだけは押さえてほしい重要なコツがあります。そこを押さえると、「ギターって楽しい!」「先輩、教え方上手!」と喜んでもらえること間違いなし!
そこで、家庭教師として勉強嫌いの子どもに教えて「教え方の本」まで出した私が「教え方上手ですね!」とモテモテになれる教え方のコツを紹介しちゃいます。
新人や初心者に教える時に必要なものとは
先に結論を言いますよ。長い話はつまらないから
お願いします
ズバリ、超簡単な曲のサビから教えてあげて。
え、いきなりですか?ストロークとかコードとは何かとかそういう話は?しかもイントロAメロすっ飛ばして?
大事だよね、でも少ししてからでいいと思うよ。
最初にやるべきことは「一番楽しいこと」がいいね。
心理学者ベンジャミン・ブルームの理論によると、スキルは3つの段階を経て進歩するといわれています。
その3つのうちの最初の段階である「初期」は、興味のあることを見つけて掘り下げる段階です。本腰を入れて続けるのか、やめるのかを決めかねている段階ともいえます。
この時期はとても重要で、初期の段階で「面白い」と思うことができれば長続きします。
最初の学びを楽しく、満足感の得られるものにする。入門的なところは遊びを通じて学ぶ。初心者は周囲の励まし、ある程度の自由、ちょっとした達成感、ほめられることが大切なのです。
新人、初心者に段階に「やってはいけないこと」
今までに習い事を「始めたけどすぐやめた」経験ってある?
あります。いきなり基礎練習で、あまりにもキツくて、自分には向いてないかもって思って
そうだよね。最初がキツいと希望が見えなくて「やめたい」になるよね
あ・・・だから教えるときは最初に楽しいことをするんですか?
素晴らしい!大正解!
例えば、皆さんにもありませんか?始めたばかりの習い事やスポーツを、すぐに辞めてしまった経験が。
「自分には合わないと思った」
「上手くできないから楽しくなかった」
初期の状態では、続けるか辞めるかを決めかねています。「いいこと」「おもしろいこと」があれば続けるし、なければ続けずにあっさりやめてしまう。
反対に、長く続いていることは、「これはもっとやりたい」「上手にできて嬉しかった」というように、ポジティブな体験が早い段階であったのではないでしょうか。
だから、入門的な学びには楽しさや満足感、ちょっとした達成感のあるものが必要です。
私が小学校に入学したばかりの頃、担任の先生がやさしくて、ほめてくれたので、嬉しくて勉強を頑張ることができました。その体験があったから、勉強をずっと続けてこられたし、いまも勉強が好きなのでしょう。
一方、運動は何をやってもダメだったので、早々に諦めました。とりあえず単位落とさない程度に頑張ろう、みたいな感じです(笑)。
このように、初期の体験はすごく大事。初期に成功体験を得るのか、失敗体験を得るのかで、その先は大きく変わってくるのですね。
新人・初心者に成功体験をプレゼントする
新人・初心者の人は「自分にできるかな」と不安に思っています。
そこ段階の時に「難しいこと」や「つまらないこと」を教えるのは無意味です。
ギターの弦の張り方ってすごく重要ですが、コツがいるし難しい。だから初心者に教えるのには向いていません。
ギターを弾く人ならわかると思うのですが、初心者がつまずきがちなのは「Fコード」ですよね。指をまっすぐ伸ばすのでかなりコツがいるコードです。もしギター初心者にいきなりFコードを教えたりしたら大変です。音が出なさすぎて嫌いになるでしょう。これは「初心者には難しすぎる」ことです。
それよりも最初にやることは、簡単なコードを使った曲を1曲弾くことでしょう。サビが簡単な「C、D、E」みたいなコード進行の曲を選んで、とりあえず指を押さえて、ジャーンと弾いてみる。
それっぽい音が出ればなんだかそれだけで楽しいものです。
大抵の人が曲の「イントロ」から入って「Aメロ」を弾いて・・・とやりがちですが、一曲全てだと大変だし、初心者には覚えられません。だから「サビだけ」弾くんです。サビなら知っている人も多いし、歌って盛り上がったりもできるかもしれない。初心者同士で簡単なセッションができたりするかもしれない。
だから、楽器なら初心者に一番最初にやってもらうべきは「超簡単な曲のサビ」です。他の楽器やダンスでも使える技だと思います。
もし料理を教えるなら、一番楽しいのって「お菓子を焼くところ」だと思います。オーブンを覗くと生地が膨らんで、いい香りがします。だから生地作りまでは先に準備して、焼くところだけを体験してもらう。
スポーツなら、シュートの練習と実演。シュートって一番テンションが上がるじゃないですか。
イラストなら、どこをとっても楽しいかもしれませんが、色を入れて完成させるところが楽しいかもしれないですよね。
プログラミングなら、あと一つコードを書けば動くみたいな状態にしておいて、コードを書いて動くところを体験してもらう。
飲食店でのアルバイトなら、お客様に「ありがとう」って言ってもらえるところを担当してもらう。
営業なら、いつもよくしてくれるお客様のところに連れて行って「契約をとる」体験をしてもらう。
このように、そのジャンルの「花形」を最初に体験してもらうと、興味を持ちやすくなります。
新人・初心者に教える順番は?
一つ疑問があるんですが
ハイ、なんでしょうか。
じゃあ、基礎的なことっていつ教えたらいいんですか?ストロークとかコードの基礎とか。
さっきの「超簡単な曲のサビ」が終わってから、だね
本当にそのタイミングですか?遅くないですか?
大丈夫だし、むしろその方がいいの。一曲弾いて楽しくなっているタイミングって「もっとやりたい!」っていう状態だから、基礎的な練習も楽しめるはずだよ。先輩であるあなたの話もよく聞いてくれるはず。
なるほど、楽しいことを先にやると興味が湧くんですね!
中級〜上級者なら、「基礎」の大切さをきちんと理解していると思います。基礎があるからこそしっかりした演奏ができる。
ただ、基礎って初心者にはすごく退屈です。もうすでにやる気満々激アツな初心者さんならいいけれど、みんながみんなそうではない。
そうなると、まず一番最初にすべきことが、とりあえず「興味を持ってもらうこと」と「面白さを知ってもらうこと」です。
だから、最初に一番いいところを弾いて、基礎や要点を話すのはそのあとでも大丈夫。
新人・初心者に教える時は、最初が肝心
これから勉強を始めようとしている人、勉強嫌いを克服したいと思っている人は、指導者をよく選んだほうがいいでしょう。
初期は「継続か停止か」を悩んでいる状態とも言えるので、この状態に苦しいこと、厳しいことを要求する指導者をつけてしまうと、大変な問題が起こります。
確かに、練習には苦しさも厳しさも必要なのですが、最初からマイナスなことばかりだと、その後のモチベーションが続かない。やり方を間違えると、勉強を嫌いになってしまう可能性もあるのです。
これから始めようと思うことに対して、難しいことを要求し、厳しいことを言う指導者では、伸びないどころか、勉強をキライにしてしまう事もありえるのです。
初期は特に、生徒を認め、受容し、励ましながら伸ばせる指導者が必要です。これから勉強を始めようとする人はまさにその状態ですし、勉強がすでに嫌いになってしまった人はなおさら、やさしく面倒見のいい指導者が必要でしょう。
新人や初心者に教える方法 まとめ
- 初心者や新人に教えるなら、「最初に花形を見せる」
- 最初に一番楽しい体験すると、興味が湧いて学習効率が良くなる
- 最初に辛い練習をさせると、興味をなくす
初心者や新人さんに何かを教えるときは、できれば興味を持ってもらった方がいいです。興味を持ってくれれば、新人さんが自分から勉強したり調べたり練習したりと積極的になってくれるから。
それに、楽しい体験を一緒にできたら、相手もあなたに感謝してくれます。「教え上手!」とあなたの株も上がるでしょう。
だから、教科書の最初から教える必要は全くありません。安心して、「一番楽しいところ」から教えてあげてください。これができればモテモテ間違いなしです!
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