こんにちは。横浜・鎌倉のプロ家庭教師 佐々木(@kateikyo_megumi)です。
子どもを褒めるのって、難しいですよね。
お母様方からも、
「子どもをほめたほうがいいってわかっているけれど、上手くできない!」
というお声を頂きます。
かくいう私も実は、人をほめるのはあまり得意ではありませんでした。
人の悪いところは簡単に目につくけれど、いいところは意識しないと見えません。
ですが、コツを覚えたら、できるようになりました。
今日はそのコツについて書いてみます。
そもそも、子どもをほめる必要性とは?
ほめる必要性とは?
・子どもに自信をつける
自信をつけるためには、成功体験と他者からのあたたかい言葉が必要です。
それらを手軽に実践させることができるのが、ほめ言葉なのです。
・子どもを伸ばす
ほめられた子どもは、ほめられたことに対して自信をつけ、もっと興味を持つようになることが発達心理学の研究で明らかになっています。
子どもたちはもっとほめてもらうために、それを頑張ろうとします。
「やりなさい」と言わなくても、自分からやるようになります。
子どもに自信をつけ、より伸ばすうえで、ほめ言葉はとても有効なのですね。
ほめは効果絶大。だからこそ副作用も
「勉強しない子どもをほめて、勉強させたい」そう考える方が多いです。
ほめるのは効果が強いぶん、副作用もあります。
間違ったほめ方をしてしまうと、かえって勉強が嫌いになってしまう恐れさえあります。
さらに問題なのは、私達はつい「逆効果なほめ方」をしてしまいがちだということ。
それには明確な理由があります。
では、逆効果なほめ方とはどんなもので、本当に効果のあるほめ方とはどんなのものなのでしょうか。
4つのほめ方
ほめ方には4種類あります。
- 相対評価 他者と比較してほめる
- 絶対評価 比較しないでほめる
- 結果評価 最終的な結果をほめる
- プロセス評価 途中経過や変化をほめる
さらに、「やる気(心理学では動機づけという)」には2種類あります。
- 外発的動機づけ 人からほめてもらうため、報酬をもらうためなど、外的要因のために努力すること
- 内発的動機づけ 好きだから、楽しいからなど、自分のため(内的要因)のために努力すること。達成感や満足感がこれにあたります。
4つのほめ方を使って「動機づけ」を行い、勉強に向かうようにする、というわけですね。
逆効果なほめ方
よくあるのが「相対評価→結果評価→外発的動機づけ」という組み合わせ。
「クラス1位でいちばん(相対評価)成績が良かった(結果評価)からお小遣いをあげる(外発的動機づけ)。」のようなほめ方です。
相対評価も結果評価も、外から見てわかりやすいものです。誰かと比べるとその人のいいところが見えやすいもの。1番というのはわかりやすい成果です。
だから、多くの人がこのほめ方を使ってしまいます。
ただ、毎回「1位だね!すごい」と相対評価と結果評価でほめていると、他の子が巻き返してきて1位の座を奪われたときに、どうフォローすればいいのでしょうか。
残念ですが、順位は自分の努力だけでは決まりません。他の人の影響で順位が動くことがあるので難しいのです(「平均点を超えたね」もこれに近い危うさがあります)。
さらに、「ごほうびをあげる」というのもある意味、簡単にできますよね。100点取ったらゲーム買ってあげるよみたいなことです。
ただし、これが癖になると、ごほうびをもらうことが当然になってしまい、ごほうびがないと勉強しない子どもになります。
「だれもほめてくれないからやらない」
「ごほうびがないならやらない」
このほめ方はわかりやすく簡単な上に、短期間で結果が出ますが、「外発的動機づけ」がないと勉強しない、自主性のない人になる可能性があります。「ごほうびがないならやらない」状態ですね。
こうなってしまうと大変ですので、ほめ方は工夫に工夫が必要なのです。
効果的なほめ方
一番効果的なのは、先程とは真逆のアプローチ「絶対評価→プロセス評価→内発的動機づけ」です。
「数学が得意なんだね(絶対評価)」
「昨日は解けなかった問題が解けるようになったね(プロセス評価)」
→子ども「お、勉強ちょっと面白いかも?」「よし、もっとできるようになりたい(内発的動機づけ)」
「自分から勉強する子ども」は、内発的動機づけで勉強している状態です。勉強が面白いといか、もっとできるようになりたいといった感情が、彼らを動かしているのですね。
相対評価、結果評価は数値として目に見えるのでほめやすいですが、絶対評価とプロセス評価は目に見えにくいです。
これら2つを見つけるには、相当な観察が必要です。相手の長所をよく見つめたり、昨日から変わった点、成長した点を見つけないといけません。
どんな点でもいいので、よく見て、よく出来ていること、成長した点を指摘しましょう。
「計算が早いね」
「漢字を覚えるのが得意だよね」
「植物のことをよく知っているね」
「たくさん勉強したね」
「早く終わったね」
「難しい問題が解けたね」
「絵を上手に描けたね」
などなど、子どもが自分の成長に気付けるような言葉をかけるのがポイントです。
ほめポイントの見つけ方
とはいえ、なかなか「絶対評価」「プロセス評価」は難しいものです。人間はどうしても人の欠点を見てしまう習性がありますし、子どもをしっかり観察していなければ気づけないからです。そこで、ほめポイントの見つけ方を紹介しますね。
①相対評価でほめポイントを探す
絶対評価でほめポイントを探すのはとても難しいです。慣れないうちは何かと比較しながら良い点を探しましょう。
・昨日より良くなった点は?
・一週間前より良くなった点は?
・自分には出来ないけれど、子どもにはできることは?
・きょうだいとは違う点は?等
②比較の言葉を外す
たとえば「私より算数が得意」という良い点を発見したとすれば、「私より」という比較の言葉を外します。
「誰よりも頑張った」なら、「誰よりも」という比較の言葉を外します。
なお、「昨日より」はお子さん自身の成長に気づかせる言葉なので、そのままでOKです。問題は他人との比較であって、過去の自身との比較はOKです。
(ほめるときには比較はせず「○○上手だね」と伝えましょう)
「そうか、自分はこれが出来ているんだ」「昨日よりできるようになった」→面白い!もっとやりたい!という気持ち(内発的動機づけ)に導きます。
距離感も大切
よくお父様お母様から「子どもをほめられません!」というお悩みをいただきます。確かに、家族など近い人間こそほめにくい心理はあるかと思います。
ですが、近い人間だからこそできることもあるはずです。
加えて、一般的にお子さんは「親からほめられるのは嬉しい」もの。
信頼していない人からのほめ言葉と、信頼している人からのほめ言葉では、同じ言葉だとしても、響き方が全く違います。
私が生徒さんとお会いできるのは週に1回なので、「先週よりも良くなった点」や「先月よりもできたこと」を見ることしかできません。
ご家族なら毎日顔を合わせるので、昨日より良かった点は見つけやすいです。「これができたね」など、まずは気づいた点を口にしてみることから始めてみませんか。
子どもを褒める前に、どんなことを言えばいい?
・自信のない子は、ほめて伸ばす。
「子どもをほめたら調子に乗りそうで心配」と考える方が多いです。
おっしゃるとおり、どんな子どもでもほめればいいというわけではありません。
よく、ほめられて伸びるタイプ、叱られて伸びるタイプ…なんて言い方をしますが
ほめたほうがいい子、厳しくしたほうがいい子の特徴を挙げてみます。
実力のあるなしに関わらず、「自分に自信のない子」「ネガティブ気味な子」は、どんどんほめてあげましょう。
どんなに良い成果を出しても、本人はミスに注目して「自分はまだまだだ…」と思っているかもしれないので
いいところ、頑張ったところを指摘してあげれば、自信になります。
自信のある子は、叩いて伸ばす。
一方、コチラは少数派ではありますが、実力にかかわらず、自信過剰なタイプには厳しく言ってあげたほうがいいです。
自信というベースはあるので、厳しいことを言っても受け入れる事ができます。
・能力のある子は努力を、
例えば、「頭がいいね」という言葉。
試験で成績の良かった子に言ってしまいがちですが、常に良い点を取るような子には逆効果なことも。
「頭がいい」というと元から才能があって他の人とは違うんだもんね、というニュアンスに聞こえます。場合によっては嫌味に聞こえてしまいます。
しかし、テストで良い点を取る子は確実に努力しているので、「私だって頑張ってるのに、そこを見てもらえない」と思ってしまうかも。
だから、能力のある子には能力ではなく、努力や過程をほめてあげると◎。
能力が「これから」の子は能力をほめる
一方、能力がまだこれからな子の場合、能力をほめてあげた方がいいです。
一番避けないといけないのは、その子が「自分は能力がない!」と思いこんでしまうこと。
「自分にはどうにもできない」と思ったとき、学習性無力感という、もうそれ以上努力をしたがらない状態になってしまうかもしれません。
そのために、「あなたには能力がある」ということを伝え続けてあげる必要があるのです。
すぐできる上手なほめ方とは?
ほめるのが苦手な人にこそ試してほしい、簡単で効果のあるほめかたをご紹介します。
(1)第三者を出してほめる
照れが出てしまう時は、第三者の名前を出すのが有効です。
「親戚の○○さんが、あなたのことをほめていたよ!」
「学校の先生が、こんなふうにほめてくれたよ!」
と、第三者から聴いた情報としてほめるのです。
これは、直接ほめられるよりも嬉しいんです。
お母さんがお子さんをほめるなら、お父さんやおばあちゃんに、
「お母さんがほめていたよ」と言ってもらうのもいいですね。
直接ほめられると、子どももくすぐったい気持ちになりますし、言い慣れていないと、どうしてもウソっぽく聞こえてしまいます。
別の人から聞くことで、信憑性がぐっと高くなり、お子さんも心から喜ぶことができるのです。
どんどん、他の人の名前を出しましょう。(笑)
(2)あえて下手(したて)に出る
ほめることなしに相手に自信を与え、ほめる以上に効果のある方法。
それが、「下手に出ること」です。
下手に出ることで、相手の立場を相対的に高めることができるので、それだけで相手はとても気分がいいもの。
お子さんといえども、思春期を迎えると、口答えしたり反抗したりと難しい年頃です。
もちろん、教育も重要なので厳しくしつけることも重要なのですが、時々下手に出てあげると相手は大いに喜びます。
例えば、お子さんの趣味についてきいて、あれこれ教えてもらうのもいいですね。
学校で勉強していることについておしえてもらうのも面白いです。
お子さんが小学校高学年くらいになると「もう学校の学習内容がわからないから…」と、
学校の学習内容から目をそむけてしまう親御さんがいらっしゃいますが、分からないならそれはかえってチャンスかもしれません。
わからないなら、お子さんにきいてみたらいいのです。
上手に説明できたら、ほめる。
これだけで、自尊心がグーンとアップ。
子どもから教わることで、相手を尊重していることを伝えることができるのです。
(3)将来をほめる
お母様方から、「うちの子、ほめる所が何もないです」というお言葉を時々いただきます。
それは悲しすぎます…。
実は、人をほめる時は、ウソをついてもいいんです。
「将来は天才だね」「将来は勉強が面白くなるよ」と、期待が持てそうな発言をしていると、お子さんは本当にそうなっていくので、将来的には本当になります(笑)。
嘘のようですが本当の話です。
私自身の話で恐縮ですが、「さすが! 天才だね!」と生徒さんの指導後に声をかけるようにしていたら、成績がどんどん伸びていったという経験は数多くあります。
私がいままで言ったウソ?をばらしますと
「あなたは私が今まで会った中で一番かしこいよ!」
「今は30点だけれど、80点以上取れる実力があるから大丈夫だいじょうぶ!」
「(自分にはどんな職業が向いているか訊かれて)う~ん。お医者さんとか合っていると思うなぁ。理系すごく得意だし!」
今はウソだとしても、今後本当になる可能性が高いのです。
そして、私も言ってしまった以上、当然ですが一生懸命指導して、それを実現できるように頑張るわけです(笑)。
(4)紙に書く
言うのはこっ恥ずかしいですよね。
私自身、厳しめに指導をしている子や、付き合いがすでに長い子をほめるのは少し照れくさいです。
そういう時は口で言わず、紙に書いてみましょう。
ほめ言葉を紙に書くと、形が残るので何度も見ることができ、嬉しさ倍増!
小さなメッセージカードに、ほめたいことを書いてみましょう。
私も、ここぞという時には生徒さんにお手紙やメッセージカードを書きます。
これは効果絶大です。
まとめ
ほめ言葉は効果が強いからこそ、間違ったほめ方をしてしまうとやる気を削いでしまうこともあります。
でも、正しく使えば、子どものやる気や勉強への意識を変えることができるかもしれません。
ぜひ、よく観察して、良い点を伝えながら「勉強は面白い」「自分はできる」気持ちにしてあげましょう。
子どもをもっと伸ばしたい方。
子どもに自信をつけてほしい方。
ぜひ、簡単な方法から試してみてください。
続けていくと、大きく変わりますよ!