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教え方のコツ 「察する」能力を封印する

指導法

日常の仕事では、相手が何を求めているのかを察することってとても重要なことだと思うのです。

お客様が欲しがっているであろうものを先回りして提供する、これが上手い企業や人は利益を得ることができるでしょう。

 

しかし!指導においては別です。

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察する能力の弊害

もちろん、指導においても「察する力」は役立ちます。

例えば、相手がペンを持ったまま動かない場合。
取り組んでいる問題に全く歯が立たない状態であることは容易に想像がつきますよね。

そこで、ヒントを与えるのか、どうか。

生徒はもしかしたら、自分で考えたかったかもしれません。考えたかったのに、ヒントを出されたら…やる気をなくしたり、「自分は無能だと思われているのか?」と感じるかもしれませんよね。

もしかしたら、生徒は「黙っていればヒントをもらえる」ことを学習して、もう自分で考えることをやめてしまうかもしれません。

教える側が察して、良かれと思ってしたことが、生徒をダメにするかもしれないのです。

 

こんな生徒もいます。
ペンを持ったまま動かず、私の顔をじっと見つめる…。

おそらく、ヒントがほしいという合図でしょう。

でも、そこでヒントを与えたら、「じっと見つめればヒントがもらえる」ことを学習させてしまい、困ったら私を見る癖がつくでしょう。

正直、自分を頼りにしてくれるのは嬉しいし、生徒さんを可愛いと感じたりすることもあります。

しかし、大事な時は一人なのです。

試験など、大事な局面では、生徒さんが一人で対応しなければなりません。依存癖をつけたらいけないのです。

だから、良い指導者になりたければ、ある程度の察する能力は必要ですが、察して先回りするのはNG。長期的に見れば、生徒さんをダメにします。

 

では、どうすればいいのか?

そこで重要なのは、生徒さんに意思表示をさせること。

例えば、ヒントが欲しいなら「ヒントをください」とはっきり言ってもらうようにする。

私は生徒さんがいつでも質問、相談ができるようにLINEの連絡先を教えているのですが、たまにこんな連絡をしてくる人がいます。

「この問題がわかりません」

「○○の問題をやりました」

こういう連絡には、私は返信をしません。

「この問題がわかりません」については、「わからないから教えてほしい」という意味なのは容易に想像ができるのですが、そうならそうとはっきり言わないといけませんね。

具体的にどうしてほしいのか、そこまで言うべきなのです。

「わからないし、皆目検討もつかないので、このままだと時間だけが過ぎていくだけなので、解説をお願いしたいです」なのか、「わからないのですが、自分で考えたいのでヒントをください」なのかで対応は全然違うわけです。できれば私としては、後者でお願いしたい。すべての解説を求めるのではなくて、「自分で考えます」と言ってもらいたいのです。

「○○の問題をやりました」についても、それがどうした?と思うのです。
ただの報告なのか、それともチェックしてほしいのか。それともほめられたいのか?
(あ、もちろん「ほめてください♥」と言われたらほめますよ!)

そして指導者は、その意思表示をしっかりと受け止める。
(あまりにもくだらない内容でヒントを求められたら、しかるべき対応が必要)

私たち指導者の目的は、相手を自立させることにあります。

正直、自分を頼りにしてくれる人って可愛いですよね。で、ついつい世話を焼きたくもなる。ですが、依存させてはいけません。黙っていれば全てやってもらえるみたいな意識を植え付けてはいけません。

なぜそんなことを書くのか?

なぜというと、私がそうだったからです。

私は正直、察しがいい方だと自負しています。生徒さんの目を見れば、何を言いたいのかがほとんど分かってしまいます。長年の勘と経験によるものですが、昔から人が考えていることを読めてしまう方でした。

生徒さんのペンが止まっていれば先回りして、ヒントを与えたこともあります。

そのときはすごく感謝され、私も嬉しかったです。頼ってくれる生徒を可愛いと思い、もっと教えたいと思いました。
問題はそのあと起こりました。

試験前、生徒さんが自分で勉強しなかったり、試験を受けてもなかなか成果が出なかったり。原因は、生徒さんが依存的になっていたことにありました。

これじゃ、成果が出ない。

そこで、指導中は自分の察しスイッチをオフにするよう心がけているのです。少々厳しいかもしれないですし、生徒さんには心の中で「ごめんね!」と唱えています。でも、何よりも大事なのは成果。生徒さんと、テストの点が上がる喜びを分かち合いたい。

 

教育の目的は、相手を自立させることです。

察しすぎるのは、相手がひとり立ちする芽を摘んでしまいかねない。私はそれくらい重大なミスを犯していたのでした。

察しがいいのは一般的には長所なのですが、教える際は少しだけ察しのスイッチをオフにしてみましょう。

そのときは苦しいですが、後になって必ず効いてきます。

短期的なメリットより、長期的な目的を。

生徒さんの成績が上がり、自立した大人になれるように、私たち大人が行動したいものですね。

 

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