こんにちは。苦手科目を得意に変えるプロ家庭教師 佐々木(@kateikyo_megumi)です。
今日は中学生の息子さんを持つ親御さんから相談です。

中学生の息子のことで相談させてください。
もともとあまり勉強が好きなタイプではなかったのですが、最近はテスト前でも机に向かう気配がなく、「どうせやっても無理」とか「勉強しても意味ない」といった言葉を口にするようになりました。
成績も少しずつ下がっていて、私も焦ってしまい、つい「ちゃんとやりなさい」「そんなことじゃ困るよ」と強い口調で言ってしまうことがあります。
でも、言ったあとに毎回後悔するんです。
息子は黙り込んで、部屋にこもってしまうことも多くて…。
以前よりも表情が暗くなった気もします。
もしかして、ただ勉強が嫌いなだけじゃなくて、
自信をなくしているのかな?
自己肯定感が下がっているのかな?
そんなふうに思うようになりました。
私自身もどう接したらいいのか分からなくて、つい距離をとってしまっているような気もします。
「あなたはそのままでいいんだよ」と伝えたい気持ちはあるのに、うまく言葉にできません。
どうすれば、また少しでも前向きに勉強に向かえるようになるんでしょうか?
親として、どんなふうにサポートしてあげればいいんでしょうか?
最近、子どもが勉強を避けるようになってきた。
声をかけると不機嫌になり、机に向かうまでに時間がかかる。
テストの点数が下がり始めて、「このまま大丈夫なのかな」と心配が尽きない。
こうした状況が続くと、
「私の関わり方が悪かったのかな」
「もっと声をかけるべきなのかな」
と自分を責めてしまう方も少なくありません。
ただ、勉強嫌いの背景には、努力不足や性格ではなく、
“自己肯定感の低下”という構造的な要因が隠れていることがあります。
この記事では、自己肯定感とは何か、そして低下すると勉強にどのような影響が出るのかを整理し、改善の方向性をお話ししていきます。
1. 勉強嫌いは「やる気の問題」ではなく、土台の問題です
勉強嫌いになるとき、多くの親御さんは「やる気が出ないんだろう」と考えがちです。
しかし、実際には
・理解の穴が放置されている
・比較される環境が増えた
・叱られる経験が重なった
・結果が出ない期間が続いた
こうした状況が積み重なることで、
「どうせできない」という予測が強くなることが問題の本質です。
この「どうせ」という気持ちを支えているのが、自己肯定感です。
2. 自己肯定感とは何か:学習行動を支える“心の容量”
自己肯定感というと、性格やポジティブさのように捉えられがちですが、
学習の場面ではもう少し実務的な意味を持ちます。
●自己肯定感=「できない自分を扱える心の容量」
・失敗しても立て直せる
・結果が出ない期間でも続けられる
・新しい課題に手を伸ばせる
こうした行動を支えるのが自己肯定感で、
高い・低いというよりも「どれだけ余裕があるか」に近い概念です。
●なぜ勉強と関係するのか
勉強は、点数や順位など“比較される場面”が避けられません。
とくに中学生は友人関係・SNS・定期テストが重なり、
自分の位置づけを意識しやすい時期です。
そのため、少しの失敗でも
「やっぱり自分はできない」
と感じやすくなり、行動が止まりやすくなります。
3. 自己肯定感が下がったときに起きる行動の変化
家庭では次のような変化が見えることがあります。
●表面的に見える行動
・机に向かうまでの時間が長くなる
・先延ばしが増える
・不機嫌が増える
・提出物が滞る
●背景で起きていること
これらは「怠け」ではなく、
・小さな失敗の不安が強い
・再挑戦のハードルが高くなっている
・過去の失敗が“次も同じ”と思わせている
・成功体験が不足している
といった構造が関係しています。
つまり、
“挑戦するための心のエネルギー”が足りなくなっている状態です。
4. 勉強嫌いと自己肯定感の関係を整理する3つの視点
① 点数による「自己評価の揺れ」が起きやすい
点数が結果として目に見えるため、
“自分の価値”と結びつけやすい時期です。
② 他者比較の量が急増する
中学生は友人関係が広がり、SNSも普及しているため、
他人の“良いところだけ”が目に入りやすい環境です。
③ 失敗経験が続くと「次の挑戦コスト」が上がる
一度躓くと、「今度もまた失敗するかも」という予測が強まり、
行動できなくなることがあります。
この3つが重なると、勉強そのものが苦痛になり、
机に向かうエネルギーが足りなくなることがあるのです。
5. 自己肯定感を回復させる方法:量よりも“設計”が大切です
自己肯定感を高めると聞くと、
・特別な声かけ
・褒める回数を増やす
・毎日の振り返り
のような負担を思い浮かべるかもしれません。
自己肯定感の回復は「量」ではなく、
「成功しやすい構造を作ること」が最も効果的です。
●方向性1:行動を小さく分け、成功体験を積みやすくする
机に向かう→1ページ解く→丸つけ
のように“細かくできるタスク”を設定します。
●方向性2:成果ではなく「取り組んだ事実」を扱う
行動そのものを認識してあげると、
「できた」という感覚が戻りやすいです。
●方向性3:理解の穴を埋めるために、戻る範囲を適切に決める
難しい範囲を進めるより、
“短時間で終わる課題”の方が自信につながります。
●方向性4:責められない安心の場をつくる
声かけを減らすだけで、挑戦のハードルが下がることがあります。
6. 改善ステップ
ステップ1:どこから崩れているかを確認する
教科・単元・時期を整理し、
“理解が追いつかなくなった地点”を把握します。
ステップ2:戻る範囲を小さく設定する
1学期の基礎、または小テストレベルなど、
成功しやすい範囲まで戻します。
ステップ3:短時間で達成可能な課題に変える
10分で終わる内容を繰り返すことで、
行動の再開がしやすくなります。
ステップ4:量は増やさず、構造が整うまで“安定”を優先する
量を増やすのは、土台が戻ってきてからで十分です。
7. 実例:得意な数学を入口にしたら、行動が安定したケース
ある中学2年生男子の話です。
勉強になると手が止まり、課題も後回しになりがちです。
話を聞いていると、この子はパズルが得意で、計算の際にも暗算で解こうとするところがあるようでした。計算問題は早く解けるタイプでした。
そこで、苦手分野ではなく、“成功しやすい数学”から取り組むよう計画を立て直すことにしました。
数学の中でも、短時間で終わる計算問題に絞り、
1日10分だけ取り組む形に変えたところ、
次第に「これはできる」という感覚が戻っていきました。
難しい声かけや大量の勉強ではなく、
“成功しやすい入口を作っただけ”で行動が戻ることがあるという典型例です。
おわりに:構造が分かると、焦りが少しずつ減っていきます
勉強嫌いは、親御さんの努力不足ではありません。
多くの場合、理解の遅れや比較環境が積み重なった結果、
自己肯定感の余白が少なくなっているだけです。
土台が整えば、行動は必ず動き出します。
量を増やす必要も、強い声かけも必要ありません。
今の状況を整理して、
・どこで止まったのか
・どこまで戻れば成功しやすいのか
を決めることで、優先順位が自然と見えてきます。
そして、その手順が分かるだけでも、
親子ともに勉強へのハードルが下がり、
日常が少し楽になります。
勉強嫌いは「終わり」ではなく、
“整えるべきポイントが見え始めたサイン”です。
必要以上に背負わず、一歩ずつ整えていきましょう。
以上、佐々木(@kateikyo_megumi)でした!
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