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指導係必見!自分が「できる」けれど「教えられない」時の教え方

指導法

こんにちは。横浜・鎌倉のプロ家庭教師 佐々木(@kateikyo_megumi)です。

ブログ読者様から、教え方について質問がありました。

大学生で最近個別指導塾でアルバイトを始めました。

先生によっては説明を聞いたらあぁ~なるほどそういうことだったのかと思って、塾に行くのが苦でなくなるような先生もいました。私もそんな先生になれたらなと思って、アルバイトを始めたのですが、自分が解けるのと人に教えるのは違って苦戦しています。

教えることでのポイントなどがあれば教えてほしいです。(T様)

「自分はできる」けれど、「教えられない」というお悩みです。

教える仕事を始めたばかりの方が、必ず直面する壁ですね。

自分が「できる」から相手に教えられるだろうと考えてしまいがちなのですが、実際に相手に「教える」と、「できる」と「教える」は全く別ものであると気づきます。

知識の呪縛

熟練者が説明をする際には特に気をつけないといけないことがあります。「熟練者こそ、上手に説明ができない」という現象です。

自分ができることはすでに体に染みついてしまっているので、説明しにくいですよね。「自分がよく知っていることは、うまく説明できない」この現象を知識の呪縛といいます。

「名選手、名監督にあらず」とよくいいますが、これは知識の呪縛が一因でしょう。

 

なぜ、「できる」のに「教えられない」のか

できるのに教えられない。原因はシンプルです。

教える人は、既にその技術を身につけている人。たとえるなら、建物の3階から物事を見ている人です。

教わる人は、まだその技術について何も知らない人です。たとえるなら、建物の1階から物事を見ている人です。

3階から見れば、下のことがよく見えるでしょう。
1階からは、上のほうはよく見えません。

視点の差があるのです。

よく、指導者が「あいつは理解力がない」と、学習者に対して文句を言っているのを聞きます。しかし、残念ですが、相手が理解してくれないのは、学習者の責任ではありません。

100%、指導者の責任です。

1階からものを見ている人に「3階に何があるか」を尋ねたところで、見えるのでしょうか?想像できるのでしょうか?
無理ですよね。

だから、3階から見ている指導者が、1階、2階、3階の状態を伝えるしかないのです。相手は見えていないのですから。「いいから上がれ」「自分で考えろ」は、指導放棄でしかありません。相手が落ちたら一大事です。

だから、相手が3階まで上がってくるために、どんな情報が必要なのか考えて、提供しなければならないのです。

初めてのときのことを思い出す

あなたは今3階にいるわけですが、最初から3階にいたわけではありませんよね。
必ず、1階から上がってきたはずです。

つまり、誰にだって初心者の時代があったのです。
その時のことを、具体的に、できるだけ鮮明に、思い出してみてください。

どんなことに思い悩みましたか?
どんなことに困りましたか?
どんなときに、助けてほしいと思いましたか?

これらをできるだけたくさん、箇条書きにしてみてください。くだらない、些細なことと思えることだったとしても、それが相手にとっては重要な情報かもしれません。とにかく、たくさん書く事です。

書いたら、その横に「どうすればよかったか?」を書いていきます。これが、解決策です。

 

実際に降りてみる

もう一つの手段として、実際に1階まで降りてしまうという方法もあります。
全く知識がないつもりで、一度やってみるのです。

そして、つまずいた点や、ハテナマークが浮かんだところを書き出す。どんな小さなことでも、取り出しておきます。

 

教えることを分解する

それでも説明をしなければならないときに、考えるヒントはステップの細分化です。

当たり前になってしまっていることは、自分にとっては「ワンステップ」でできると思ってしまいがちです。

たとえば、板書を写すという作業も、できるひとは「そのまま書けば良いんだよ~」とか言いますが、彼らにとってはそれが難しい。

たとえば、こう教えます。

①ノートの上に日付を書きます

②章のタイトルを書きます(書かないとなんの勉強をしているかわからない)

③ページを書く

④先生の板書を写す

⑤先生が重要だと言ったところは赤で書く

このくらい言ってあげましょう。

 

勉強ができる人は、①、②、③を当たり前にやりますが、勉強が苦手な人はこの辺を書きません。とくに②の「章のタイトルを書く」については、やらないと「今自分が何を勉強しているのかわからない」状態になりがちなのですが、勉強が苦手な人はそこに気づきません。

 

というように、勉強が得意な人にとっては思いもよらないところで彼らはつまずいてしまうので、「これくらいはできるでしょー」と思うことでも、細かいステップに分けてみてください。

 

それを無理やりにでも複数ステップに分けてみたら、どうなるかを考えてみましょう。分けてみることで気付くことがあります。

 

教えることはひとつでいい

質問者のT様は、勉強が苦手な子どもの多い個別指導塾で教えているとのこと。
苦手意識のある人に教える時は、「1をきいて10を知る」という言葉は一切忘れましょう。

「3回教えて1理解する」くらいがちょうどいいです。

なぜ彼らは勉強が苦手かというと、その原因の90%が「学校授業の理解」です。学校の授業が理解できずに、いつの間にか置いていかれて、もっとわからなくなり、どんどん嫌になってしまう…ということがほとんどなのです。

3階にいるあなたは、のぼり方のコツをたくさん知っているかもしれませんし、それを全部教えてあげたい!と思うかもしれません。

しかし、相手は多分、それを受け止める余裕がありません。大荷物を抱えて上に上るのは大変ですよね。

なので、たった一つでも理解してくれればいい、たった一つだけ持ってきてね、そんな気持ちで教えることが一番重要。

「少ししか教えられなかったな」と自分を責める必要は全くありません。たった一つのことを、頑丈に、強固に、教えられたら合格。最初はそのくらいの気持ちで臨みましょう。

相手の気持ちに寄り添えるか

教える時に心得ておいていただきたいこと。

上がるのは大変、下りるのは簡単だということです。

3階から1階に下るのはラクラク簡単でも、1階から3階まで登るのは大変。その大変さをきちんと理解できる指導者は、学習者から信頼されます。

「大変だけれど、大丈夫だよ」「私が教えるから」と言える指導者は、尊敬されます。

そんな指導者がもっと増えたら、私も嬉しいです。
Tさんも、ぜひ頑張ってくださいね。

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