こんにちは。横浜・鎌倉で活動するプロ家庭教師 佐々木(@kateikyo_megumi)です。
今日は中3のお子さんをお持ちのお母様から質問をいただいています。

中学3年生の娘が、今志望している高校にどうしても行きたいと言っています。
ただ、模試の結果や学校の先生の話を聞いても、正直なところ、今の成績ではかなり厳しいのが現実です。
娘は「絶対にあきらめたくない」と言っていて、頑張ろうと必死になっています。
本当は応援してあげたい気持ちでいっぱいです。
でも、現実を無視して突き進んだ結果、もし失敗したら、娘がどれだけ落ち込むかを想像すると怖くなります。
それに、経済的な面や通学の負担を考えても、今の志望校が本当にベストな選択肢なのか悩んでしまいます。
無理に「やめなさい」と言いたくはないけれど、
かといって、何も言わずに見守る勇気もなくて、どうしていいかわかりません。
子どもの夢を傷つけずに、現実を伝えるには、どうしたらいいのでしょうか。
子どもの志望校が「ちょっと・・いやだいぶ、高望みなんじゃないか?」と感じていらっしゃるそうです。そういうこと、ありますよね。
子どもの夢を応援したい気持ちはある。
でも、今のままでは合格が難しいかもしれない。
そんな現実を前に、「どうやって伝えたらいいんだろう」「傷つけずに諦めさせる方法はないかな」と悩んでいませんか?
実は、こうした葛藤を抱えている親御さんはとても多いのです。
この記事では、子どもの気持ちを大切にしながら、現実的な進路選びに導くための考え方と具体的な方法についてお話しします。
1. 親が「諦めさせたい」と思う理由って何だろう?
まずは、あなた自身の気持ちを丁寧に見つめてみましょう。
「子どもに志望校を諦めさせたい」と感じるとき、そこにはいろんな思いが絡み合っているはずです。
たとえば、
・今の学力や内申点では合格が難しいと感じている
・家計の事情から、私立や遠方の学校への進学が現実的ではない
・通学距離や生活環境を考えると、心配が拭えない
・もしも受験に失敗したとき、子どもがどれだけ落ち込むか想像してしまう
・「親としてしっかりサポートできなかった」と自分を責めたくない気持ちがある
こうして一つ一つ言葉にしていくと、ただ「無理だから仕方ない」と割り切っているわけではないことが見えてきます。
本当は、子どもに成功してほしい。
できるだけ安心できる道を選ばせてあげたい。
できることなら、傷つかずに前を向いて歩いてほしい。
そんな優しさと愛情が、心の奥にちゃんとあるのです。
でも、その優しさが、時には「早く諦めさせなきゃ」という焦りになったり、
「このままだとダメだ」という不安になったりすることもあります。
だからこそ、まずは「自分は子どもを守りたいからこそ悩んでいるんだ」と、
その気持ちを認めてあげてほしいのです。
あなたが苦しくなるのは、子どもを大切に思っているからなのですから。
なぜ子どもは高望みをしてしまうのか?
さて、ここで子どもの気持ちも少しみてみましょう。
子どもが現実よりも高い目標を掲げる背景には、いくつかの理由があります。
ひとつは、憧れや理想に対する純粋な気持ちです。
「この学校に入ったら自分も変われるかもしれない」「こんな制服を着たい」「この部活に入りたい」
そんなワクワクした気持ちが、自然と大きな夢につながっていることもあります。
また、周囲の影響も大きいです。
友達や先生、SNSなどから情報を得て、「自分もあそこを目指すべきなんだ」と思い込んでしまうこともあります。
特に中学生は、自分の実力と理想との間にあるギャップを冷静に見極めるのが難しい時期です。
「頑張れば何とかなる」と信じたい気持ちが強く働くため、現実的なラインよりも高い目標を設定してしまうことがよくあります。
そして、もうひとつ見落としがちな理由が、自己肯定感との関係です。
「今の自分じゃダメな気がする」「もっとすごい自分にならなきゃ」
そんな不安や焦りから、無意識に高い目標を設定してしまうこともあるのです。
つまり、子どもが高望みする背景には、
夢や憧れ、周りとの比較、不安や自己否定といった、とても繊細な心の動きがあるのです。
高望みをすること自体が悪いわけではありません。
大切なのは、その気持ちを一度受け止めた上で、
「今できる最善の選択」を一緒に考えていくことです。
2. 「諦めさせる」ではなく「納得して方向転換する」を目指そう
「この学校は無理だからやめなさい」と一方的に言ってしまうと、子どもは自分の夢を否定されたように感じてしまいます。
親の気持ちがどれだけ心配から来ているとしても、子どもにとっては「信じてもらえなかった」「応援してもらえなかった」と受け取られてしまうことがあるのです。
そうなると、親子の間に溝ができてしまったり、自信を失ってしまったりすることにもつながります。
だからこそ、親が目指したいのは、「諦めさせる」のではなく、「納得して自分で次の道を選べるように導くこと」です。
現実を伝えることは大切ですが、その伝え方には工夫が必要です。
まずは、子どもの想いを受け止めること。「ここを目指したいと思ったんだね」「本気で頑張りたいんだね」と、一度しっかり認めてあげましょう。
その上で、今の状況を一緒に整理していきます。
「今の成績だと、合格するにはかなり厳しいかもしれないね」
「もしもこのまま受験して結果が出なかったら、あなたがどんな気持ちになるか心配なんだ」
こんなふうに、子ども自身が考えられるような声かけをしていくと、少しずつ現実を受け止める準備ができていきます。
大事なのは、子どもの夢そのものを否定するのではなく、夢を大切にしながら、「今できる最善の選択肢」を一緒に探していく姿勢です。
子どもが自分の力で考え、判断し、次に進んでいけるように。
親はそっと背中を支えてあげる存在でありたいですね。
3. 現実を伝えるときに気をつけたいこと
子どもに「今のままだと厳しいかもしれない」と伝えるのは、とても勇気がいることです。
どう話しても、子どもが傷ついたり、反発したりするかもしれない。
そんな不安でいっぱいになりますよね。
だからこそ、伝え方には少しだけ工夫をしてみましょう。
まずは、いきなり否定しないこと。
「そんなの無理だよ」と頭ごなしに言われると、子どもは心を閉ざしてしまいます。
どんなに親の言っていることが正しくても、子どもは「自分の気持ちをわかってもらえなかった」と感じてしまうのです。
最初は、子どもの話をじっくり聞きましょう。
「どうしてその学校に行きたいと思ったの?」
「どんなところに憧れてるの?」
そんなふうに、子ども自身の言葉を引き出してあげてください。
そのうえで、事実を一緒に見つめるステップに進みます。
たとえば、模試の判定や内申点の基準、過去の合格実績など。
感情ではなく、客観的なデータをもとに話をすることで、「親に否定された」ではなく、「現実を知った」と感じやすくなります。
伝え方にもひと工夫です。
「このままだと絶対に無理だよ」という言い方ではなく、
「今のままだと合格するのはかなり難しいかもしれないね」と、少し柔らかく、でも正直に伝えましょう。
そして、希望をゼロにしないことも大切です。
「今からこれだけ頑張れば、まだ可能性があるかもしれないよ」
「もし本当に行きたいなら、今できることを一緒に考えようか」
こんなふうに、子どもの頑張る気持ちに寄り添いながら、道を探していきます。
さらに、他の選択肢を自然に提案するのも効果的です。
「この学校も、あなたに合いそうだね」
「こういうところも魅力があるみたいだよ」
別の道にも目を向けるきっかけを作ることで、子ども自身が選択肢を広げやすくなります。
親ができるのは、現実を押しつけることではありません。
子どもが少しずつ、納得して前を向けるように、そっと寄り添い、支えていくことです。
4. 子どもが自分で考えるためにできること
どんなに現実を伝えても、最終的に進路を決めるのは子ども自身です。
だからこそ、親が一方的に誘導するのではなく、子どもが自分の頭で考えられるようにサポートすることがとても大切です。
では、具体的にどんなサポートができるのでしょうか。
まずおすすめしたいのが、模試や三者面談に一緒に参加することです。
たとえば学校の先生や塾の先生など、第三者の意見を聞くことで、子どもが自分の状況を客観的に見られるようになります。
親が言うだけでは受け入れられなかったことも、別の大人の言葉ならすっと胸に入ることもあります。
次に、他の学校の情報を一緒に集めること。
「この学校の部活、あなたに合いそうだね」
「この学校の教育方針、いいね」
そんなふうに、ポジティブな視点で別の選択肢を見せていくと、子どもは「選ばされている」のではなく「自分で選んでいる」という感覚を持ちやすくなります。
ここで気をつけたいのは、「どっちがいいか」を押しつけないことです。
あくまでも、情報を並べて、子ども自身に比較・検討させることがポイントです。
そしてもうひとつ、大事なこと。
最終的な決定権は子どもに渡す、ということです。
「どの道を選んでも、あなたを応援するよ」
この一言が、子どもの心に大きな安心感を与えます。
もちろん、親としては心配もあるでしょう。
もっと現実的な道を選んでほしい、リスクの少ない道を選んでほしい、そんな気持ちも痛いほどわかります。
でも、親が「こっちにしなさい」と決めてしまうと、
たとえうまくいっても、子どもは「自分で選んだ」という自信を持つことができません。
子どもが悩み、考え、決めた選択なら、たとえそれが遠回りになったとしても、きっと意味のある経験になります。
親は、子どもが自分の力で未来を切り開こうとする姿を、信じて見守っていきたいですね。
5. 親自身も覚悟を持とう
子どもに現実を伝えること。
それは、想像以上に勇気のいることです。
本当は、子どもが望む道を、ただ笑顔で応援してあげたい。
でも、親だからこそ見える現実があって、守りたい未来があって、
どうしても伝えなければならないこともあります。
そんなとき、心に留めておいてほしいのは、
志望校を諦めさせることは、子どもの夢を否定することではないということです。
今できること、今目指せる場所を一緒に考える。
そこにはちゃんと、子どもを思う気持ちが込められています。
それでも、どんなに丁寧に伝えても、
子どもが悔しさを感じたり、受け止めきれなかったりする瞬間はあるかもしれません。
そんなときこそ、親自身がぶれずに、子どもを信じる覚悟を持ちましょう。
「どんな道を選んでも、あなたはあなたのままで大丈夫」
「たとえうまくいかなくても、また一緒に考えよう」
そんなメッセージを、折に触れて伝えていけたらいいですね。
進路選びは、ゴールではなく、これから始まる長い道の入り口にすぎません。
どの学校に行くかよりも、そこでどんなふうに学び、どんなふうに成長していくかが、
子どもの未来をつくっていきます。
親ができるのは、正解を押しつけることではなく、
子どもが自分の力で歩いていくための背中を、静かに支えることです。
焦らず、見守りながら。
あなたのそばに、いつでも安心できる居場所があることを、子どもに伝えていきましょう。
まとめ
子どもに志望校を諦めさせることは、決して夢を壊すことではありません。
現実を受け止めながら、子ども自身が納得できる新しい道を一緒に探していく。
それは、親にしかできない、とても大切なサポートです。
最初は、子どもが反発したり、落ち込んだりするかもしれません。
それでも、あなたが子どもの話を聞き、寄り添い、そっと背中を支え続けることで、
子どもはきっと、自分の力で未来を選び取っていけるようになります。
受験はゴールではありません。
これから先、どんな道を歩むとしても、親が信じて見守ってくれた記憶は、
子どもにとって大きな心の支えになっていきます。
焦らず、迷いながらで大丈夫です。
大切なのは、子どもの今を大事にすること。
そして、どんなときも変わらず「あなたの味方だよ」と伝え続けることです。
あなたのその想いは、必ず子どもに届いています。
どうか自信を持って、子どもと一緒に、これからの道を歩んでいきましょう。
以上、佐々木(@kateikyo_megumi)でした!
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