こんにちは。横浜・鎌倉で活動するプロ家庭教師 佐々木(@kateikyo_megumi)です。
中学生の生徒さんから質問をいただきました。

勉強をしようと思って机に向かってみるのですが、なぜか勉強がはかどらないです。スマホが気になるし、なんか片付けとかしていたら、気づいたら夜になっていたりして・・・。
すんなり勉強を始めるためのコツとかありますか?
「わかるわぁ〜」って思わず共感しちゃいました。勉強前に机の片付け。試験前あるあるですね〜!私もよくやります。
机に向かうところまではいけるのに、そこから進まないんですよね。やる気が出なくて、ダラダラして時間だけが過ぎていく。
でも、それはあなたの意志が弱いとか、努力が足りないとか、そういうわけではないんです。実は環境とか思い込みがあなたのやる気を削いでいるかも。
そんなあなたのために、勉強しようと決意した時にダラダラせず、スッと勉強に入れるコツを教えちゃいます。
ぜひやってみてくださいね。
1.「やる気」が出ないのは脳の防衛本能だった?
「なんかやる気が出ない」「勉強始めたいのに始められない」そんなとき、あなたの脳では何が起きているのでしょうか?
実はその正体は、脳の“生き残るための仕組み”だったりするんです。
脳は「変化」を嫌う生き物
私たちの脳には「恒常性(ホメオスタシス)」という働きがあります。
これは「今の状態を保ちたい」とする機能で、ちょっと難しく言うと“現状維持バイアス”。
例えば、ソファに寝転がってスマホを見ている状態って、脳にとっては「安全で快適」。
そこから勉強を始める=ちょっとエネルギーが必要な変化が起こると、脳が無意識に「やめとこうよ〜」ってブレーキをかけちゃうんです。
つまり、やる気が出ないのは、「あなたが怠け者だから」ではなく、「脳が自然と抵抗してるから」なんですね。
先延ばしグセも「脳の節約術」
さらに脳は、なるべく“決断”を避けたがる性質もあります。
人間の前頭前野(考える場所)は、エネルギー消費が激しいため、疲れると「またあとで…」という先延ばしを選んでしまう。
つまり、あなたがダラダラしてしまうのは、“生きるための自然な反応”なんです。
ね?ちょっと安心しましたか?
2. あなたはどのタイプ?勉強ダラダラ原因診断
勉強しようと思って机に向かっても、なかなか始められない…。
そんなとき、あなたの中ではどんな気持ちが動いているのでしょうか?
実は「ダラダラしちゃう原因」って、みんな同じじゃないんです。
人によって、つまずくポイントも、引っかかる理由も違うから。
まずは自分のダラダラパターンを知るところから始めてみましょう。
ここでは、よくある【5つのタイプ】をご紹介します。
読んでいて「これ、私かも!」って思ったら、ぜひその先の対策も試してみてくださいね。
【スマホ依存型】
✅ スマホをつい触っちゃう
✅ 勉強を始めてもLINEやSNSの通知が気になる
✅ 「ちょっとだけ」と思ったのに、いつの間にか1時間…
こんなあなたは【スマホ依存型】かも。
スマホって、脳に「快感物質(ドーパミン)」を出させるので、
意志とは関係なく手が伸びちゃうんですよね。
自分を責めるよりも、「スマホは勉強の間だけ遠ざける環境を作る」のがカギです。
【疲労型】
✅ 机に向かうだけでどっと疲れる
✅ 眠い、だるい、集中できない
✅ やる気の問題じゃなく、そもそも元気がない
そんなあなたは【疲労型】かもしれません。
やる気云々じゃなく、体が本当に疲れていることって、意外と多いです。
頑張り屋さんほど「まだ頑張らなきゃ」と無理しがちだけど、
まずはしっかり体を休めること。回復するだけで、勉強のハードルはぐっと下がりますよ。
【完璧主義型】
✅ 「完璧にできないならやる意味ない」と思ってしまう
✅ 1ページ目からきれいに書かないと気がすまない
✅ 小さな失敗や間違いを異常に恐れる
そんなあなたは【完璧主義型】かもしれません。
完璧を目指す気持ち自体は素晴らしいけれど、
「全部ちゃんとやらなきゃ」と思いすぎると、かえって動けなくなってしまうことも。
勉強って、最初から100点じゃなくていいんです。
「まずはやってみる」「ヘタでも進める」を大切にしていきましょう。
【焦り型】
✅ テストが近づくと焦るけど、手が止まる
✅ やらなきゃ、やらなきゃ…と頭では思う
✅ 気持ちばかりが空回りして、結局進まない
こんなあなたは【焦り型】タイプかもしれません。
焦りが強くなると、脳のワーキングメモリ(作業する力)が低下してしまうんです。
だから「何をすればいいか分からない」「全部に手をつけられない」ってなりがち。
そんなときは、タスクを小さく、具体的にすることが何より大事です。
【ごほうび不足型】
✅ 勉強しても楽しいことがない
✅ 「どうせ頑張っても意味ない」と感じる
✅ モチベーションがわかない
このタイプは、頑張った後に“楽しみ”が足りていないことが多いです。
大人だって「お給料」というごほうびがあるから仕事できるんですよね。
勉強も同じ。
小さな達成に対して、ちゃんと自分を褒めたり、ごほうびを用意することで、
モチベーションはぐっと上がりますよ。
◆どのタイプだった?
ひとつだけじゃなく、複数当てはまる人もいるかもしれませんね。
それで大丈夫。人間だもの。
大切なのは、「私はこのパターンになりやすいんだな」って知ること。
そして、そのパターンに合わせた“自分なりの対策”を持つこと。
次のパートでは、タイプ別のダラダラ脱出アドバイスをご紹介します。
あなたにぴったりの方法、きっと見つかりますよ。ん。
3. タイプ別・ダラダラ脱出アドバイス
あなたの「ダラダラ原因タイプ」、なんとなくイメージできましたか?
ここからは、それぞれのタイプに合わせた具体的な対策を紹介していきますね。
「これ、やってみたいな」「これならできそうかも」って思えるものを、ぜひ一つでも拾っていってください。
【スマホ依存型】におすすめの対策
スマホは本当に強敵。
でもね、意志で我慢するのって、実はすごく疲れるんです。
だから最初から「見えないようにする」「触れないようにする」が正解です!
✅ スマホを別の部屋に置く
✅ タイマー機能付きアプリ(例:「Forest」「集中」アプリ)を使う
✅ 机の上に「スマホ禁止ゾーン」のメモを貼る
✅ 勉強の間だけ親にスマホを預かってもらう
「見るのを我慢する」じゃなくて、「そもそも手に取らない環境を作る」。
これだけでダラダラ率はびっくりするくらい下がりますよ。
【疲労型】におすすめの対策
疲れているときに「気合いだ!」ってがんばろうとすると、心も体もますますしんどくなってしまいます。
まずは、自分をいたわる時間を持っていいんです。
✅ 5分だけ目を閉じて休む
✅ 好きな香り(アロマ、ハンドクリームなど)をかぐ
✅ 温かい飲み物を飲んで体をほぐす
✅ 30分パワーナップ(短い昼寝)を取り入れる
元気になってからスタートすれば、効率もぐんと良くなりますよ。
疲れている自分に「よくがんばってるね」って声をかけてあげましょうね。
【完璧主義型】におすすめの対策
完璧主義さんは、すごく頑張り屋さん。
でも、「最初から全部完璧」は、誰にとっても難しいこと。
だから最初は、“ちょっとだけ頑張る”を目標にしてみてください。
✅ とりあえず5分だけやってみる
✅ 「とりあえずページを開いたらOK!」にする
✅ きれいにまとめようとせず、殴り書きでもいいから進める
✅ 間違えても「これは練習なんだ」と割り切る
「進めること」が何より大事。
完璧じゃなくても、動いた分だけ前に進んでいます。
その一歩一歩、ちゃんと自分で認めてあげてくださいね。
【焦り型】におすすめの対策
焦ってしまうと、頭の中がぐちゃぐちゃになって、動けなくなりがち。
そんなときは、タスクを小さく・具体的にしていきましょう!
✅ まず「今日やることリスト」を紙に書く
✅ 大きなタスクをさらに細かくする(例:「英語のワーク」→「Lesson5の単語だけ書き出す」)
✅ 「これだけやったらOK!」というゴールを小さく設定する
✅ リストを1つ終えるたびに線を引いて消す(達成感がすごい!)
焦りがふくらんできたら、「まずこれだけ」と自分に言い聞かせて、ひとつずつやっつけていきましょう。
【ごほうび不足型】におすすめの対策
がんばった自分にちゃんと「ごほうび」をあげるって、とても大事なことです。
それがあるだけで、勉強がちょっと楽しいものに変わるから。
✅ 30分勉強したら好きなお菓子タイム
✅ 1ページ終わったら推しの曲を1曲だけ聴く
✅ ワーク1冊終えたら欲しかった文房具をプレゼント
✅ 週末に「ごほうびデー」を作る
ごほうびは、別に大きなものじゃなくていいんです。
「小さな達成→小さなごほうび」のリズムを作ると、自然とモチベーションが回り始めますよ。
◆最後に:あなたのペースで大丈夫
タイプ別にいろんな対策を紹介しましたが、いちばん大切なのは、
「自分に合いそうなものを、ひとつだけ試してみること」
全部やらなきゃ!って思わなくていいんです。
できそうなことから、少しずつ。
ダラダラしてしまうのも、やる気が出ないのも、誰にでもあること。
でも小さな工夫を続けるうちに、きっと「前よりラクになったかも」って思える日が来ますよ。
あなたのペースで、大丈夫です。
一緒に、少しずつ進んでいきましょうね!
4. ダラダラしない環境を「仕組み」で作ろう
やる気に頼らず、行動をうながすにはどうすればいいのか。
それには「勉強モードに自然と入れる環境づくり」がとっても大切なんです。
◆アクション数を減らす=面倒くささを減らす
人は「面倒だな…」と思うとき、実は“行動のステップ数”が多いんです。
たとえば:
- カバンを持ってくる
- 筆箱を出す
- 教科書を探す
- ノートを開く
- シャーペンを握る
これ、5ステップ。けっこう多いですよね。
これを、
- 机に教科書とノートを開いた状態で置いておく
- ペンもそのまま置いておく
……とするだけで「1ステップ」ですみます。
この“アクション数を減らす”という小さな工夫が、ぐんとラクにしてくれますよ。
◆準備は前日に済ませておくと◎
夜のうちに明日の勉強道具を準備しておくだけで、「やる気ゼロの朝」でも、スムーズにスタートできるようになります。
これは“意志力”ではなく、“仕組み”の勝利。自分を責める必要はないんですよ。
5.「ルーティン」で心のエンジンをオンにしよう
やる気スイッチがなかなか入らない…という方には、「勉強前ルーティン」がおすすめです。
◆心理学でも証明されたルーティンの効果
ルーティン(決まった流れの行動)には、「脳にとっての合図」という働きがあります。
アスリートが試合前に決まった動きをするのもこの一種ですね。
たとえば:
- メガネを拭く
- 目薬をさす
- タイマーをセットする
- 水を飲む
- 好きな香りを嗅ぐ(アロマや香水)
このような簡単な習慣を、勉強の前に毎回やってみてください。
「これをしたら勉強が始まる」と脳が認識して、スッと集中しやすくなります。
◆あなたに合った儀式、見つけてみて
おすすめルーティン例:
- 机を拭く
- 3回深呼吸
- ストレッチを1分
- 勉強用BGMをかける
- 勉強スイッチの合言葉をつぶやく
ちょっとだけでも、意識が切り替わる“合図”を取り入れるのがコツですよ。
6. 「5分だけ」でOK。脳は動き出すと止まらない
「勉強って、1時間くらいやらなきゃ意味ないんじゃ…」って思っていませんか?
でもね、その考えがハードルを上げちゃってるんです。
◆脳は“行動を始める”ことでやる気を生む
脳科学では「作業興奮」という仕組みがあります。
つまり「やり始めてから」やる気が出てくるんです。
だからこそ、
「とりあえず5分だけやろう」
「1問だけやってみよう」
こんな風に、自分のハードルをぐーんと下げてあげることが大切。
やってみると「あれ、意外といけるかも?」とそのまま続けられたりするものです。
7. ちょっと科学的に:人はなぜ「楽な方へ流される」の?
最後に、少しだけ心理学の話を。
人には「快楽原則(プレジャープリンシプル)」という性質があります。
ざっくり言えば「楽しいことはやりたい、しんどいことは避けたい」っていう本能ですね。
- SNSを見る → 楽しい(報酬系が刺激される)
- 勉強する → つらい(結果がすぐ見えない)
だから、気を抜くとスマホに手が伸びるのは、実は自然な反応なんです。
だからこそ、「スマホは手の届かないところに置く」といった物理的対策や、「勉強後にごほうびを用意する」といった工夫が、ちゃんと効果的なんですよ♪
8. 今日からできる!ダラダラ脱却チャレンジ
ここからは実践編です!
「読んで終わり」じゃもったいないので、ぜひ一緒に“ダラダラ卒業チャレンジ”してみませんか?
◆1週間チャレンジ例
- Day1:机の上をきれいにする
→ 「すぐ勉強モード」に入れる環境づくり - Day2:スマホを別の部屋に置いてみる
→ 意外と安心できる自分に気づくかも - Day3:勉強前のルーティンを1つ作る
→ 水を飲む、深呼吸する、なんでもOK - Day4:「5分だけやる」と声に出して宣言
→ ハードルをぐっと下げてスタート! - Day5:今日のごほうびを用意する
→ お気に入りのチョコでも、ゲームでも♪ - Day6:小さな達成感をメモして残す
→ 「今日もできた!」ってちゃんと書こう - Day7:1週間頑張った自分を思いっきり褒める
→ 成果が出たかどうかじゃなく、「続けた自分」が素晴らしい!
まとめ:あなたは悪くない。「やる気に頼らない仕組み」をつくろう
「勉強を始めようと思ってもダラダラしてしまう…」
これは決してあなたがダメなわけじゃありません。
脳や心の仕組みを知れば、むしろとても自然な反応だとわかります。
だからこそ大切なのは、「やる気」に頼らない方法を持っておくこと。
- 勉強道具を前もって出しておく
- 勉強前の小さなルーティンを決める
- 「5分だけ」と声をかけて始める
この3つをうまく組み合わせて、「勉強に入りやすい自分」を作ってあげてくださいね。
そして何よりも、自分を責めないであげてほしいのです。
「うまくできた日」も、「ダラダラしちゃった日」も、どちらもあなたの一部。
少しずつでも前に進んでいけたら、それはもう十分に素晴らしいことです。
あなたの今日が、ちょっと前向きな一歩になりますように。応援しています。
参考記事
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