こんにちは。横浜・鎌倉で活動するプロ家庭教師 佐々木(@kateikyo_megumi)です。
今日は「子どもに勉強のことで期待しすぎたかも」と不安に思っている親御さんからの質問が届いています。

中学1年の娘がいるのですが、最近、勉強にまったく身が入らなくなってきました。
テストも近いし、さすがにそろそろやらなきゃと思って「ちょっと勉強したら?」と声をかけたら、「うるさいな!」と怒られてしまって…。
私としては、ただ応援したかっただけなんです。
でも、もしかしたら期待しすぎてしまったのかも、と自分を責める気持ちもあって…。
塾にも通っているし、環境は整えているつもりなのに、本人がやる気を出さないと意味がないような気がしてしまって…どうしたらいいのか、わからなくなってしまいました。
勉強しなさいって言わずに、娘のやる気を引き出す方法があるなら、知りたいです。
「うちの子、全然勉強しようとしないんです」
「つい『もうすぐテストでしょ?』って言ってしまって、険悪な空気に…」
こんなふうに、子どもの勉強をめぐってモヤモヤした気持ちになったことはありませんか?
子どもの将来のために、少しでも勉強してほしい。
親としては当然の思いなのに、子どもには“プレッシャー”として伝わってしまうこともあります。
そして、子ども自身も「やらなきゃ」と思っているのに、思うように動けない。
そんな自分にイライラして、ますます気持ちが沈んでしまうこともあるんです。
でも、やる気がないわけじゃないんです。
ただ、「どう始めたらいいかわからない」「やっても意味がある気がしない」など、勉強の“入口”でつまずいていることがとても多いんです。
そこで今回は、「期待」や「関わり方」だけでなく、実際に子どもが“やってみようかな”と思える勉強の工夫についてお伝えします。
子どもに合ったスタートの仕方、集中のコツ、気持ちの乗せ方。
少しずつ試しながら、子どもが自分のペースで学べるようになるヒントを、一緒に探していきましょう。
.「やらなきゃ」と思うほど動けなくなる理由
「勉強しなきゃいけないのはわかってる」
「でも、なかなか手がつかない」
そんな様子に心当たりはありませんか?
実は、子どもたちの中には、「やらなきゃ」という気持ちが強いほど、かえって体が動かなくなってしまう子が少なくありません。
◆ 完璧にやらなきゃいけない、と思ってしまう
たとえば、「ちゃんとやらないと意味がない」「一度始めたら最後まで集中しなきゃ」といった思い込みがあると、スタートのハードルがとても高くなります。
「いまはそんな気分じゃないから…」と、どんどん先延ばしになってしまうんですね。
◆ 親の期待が“結果”に向きすぎていると、ますます動けない
「このままだと成績が下がるよ」
「〇〇高校に行くには頑張らないと」
そんな声かけが続くと、子どもは“失敗したくない”という気持ちばかりが先に立ってしまいます。
「やる前から失敗が怖い」
「どうせできないから、やらないほうがマシ」
そんなふうに思ってしまい、ますます手がつかなくなるという悪循環に…。
◆ 必要なのは、“頑張ること”ではなく“始めやすさ”
この段階の子どもに必要なのは、根性やプレッシャーではなく、「とりあえず始めてみようかな」と思える小さなきっかけです。
勉強そのものの意味や目標を語るよりも、
まずは「ちょっとだけやってみる」「やりやすく整える」ことの方が、よっぽど大きな一歩になります。
次の章では、そんな“勉強スタートの工夫”についてご紹介しますね。
2.勉強スタートをラクにする小さな工夫
「やらなきゃ」と思っても動けないときは、そもそも**“始める”という段階がハードルになっていることが多いです。
だからこそ、まずはとりかかるための工夫**をしてあげることが大事です。
ここでは、親御さんがそっと手を貸せる「スタートしやすくする工夫」をご紹介します。
◆ 5分だけタイマーをかける
「全部やろう」と思うと重たくなるので、まずはタイマーを5分にセットして「5分だけやってみよっか?」と声をかけてみましょう。
「5分ならできそう」と思えると、意外とそのまま10分、15分と続くこともあります。
“始める”ことができれば、勉強はもう半分成功です。
◆ 好きな教科・得意な単元から入る
苦手な教科や難しい問題から始めると、心が折れやすくなります。
「好きなところからでいいよ」と伝えるだけで、取りかかりやすくなる子は多いです。
「地理の地図を見るの好きだよね」
「英語の音読から始めてみようか」
子どもの“ちょっと好き”に気づいてあげることがカギです。
◆ 勉強前の“スイッチ”を決めておく
いきなり机に向かうのがしんどい子には、気持ちを切り替えるルーティンを用意してあげるのも効果的です。
たとえば…
- 好きなお茶をいれる
- 軽くストレッチをする
- ノートに日付を書くだけでもOK
- 「3・2・1スタート!」と親子でカウントダウン
「やるぞ」の合図があると、習慣化しやすくなります。
無理にやらせるよりも、「ちょっとだけ」「やりやすく」工夫することで、子どもの気持ちはグッと動きやすくなります。
次は、「間違いを怖がってしまう子」へのサポートについてご紹介します。
3.失敗を恐れる子には「正解」より「過程」を大事に
勉強に取りかかれない理由のひとつに、「間違えたくない」という気持ちの強さがあります。
とくにまじめな子ほど、「どうせ間違えるなら最初からやらない方がいい」と思ってしまうことも。
そんなときは、正解にこだわるのではなく、“どう考えたか”という過程を認めてあげることがとても大切です。
◆ 「どう考えたか教えてくれる?」と聞いてみる
答えが合っていたかどうかではなく、「どうやって考えたの?」「ここは何をヒントにしたの?」と声をかけてみましょう。
自分の思考を整理する練習にもなりますし、
「わたしの考え方に興味をもってくれてるんだ」と感じられると、子どもは安心します。
◆ 「惜しかったね」「ここまではバッチリ!」のように部分でほめる
たとえ間違っていても、「途中まで合ってたね」「この発想すごくよかったよ」と“良いところ探し”をしてみてください。
ミスにばかり注目するのではなく、一部でも「できたこと」があれば、それを言葉にして伝える。
それだけで子どもは、「次もやってみようかな」と前向きな気持ちを持ちやすくなります。
◆ 親のリアクションが「安心感」につながる
間違えたときに「え?どうしてこうなったの?」と驚いたり、「ちゃんと読んだの?」と責めるような反応をしてしまうと、
子どもは「また怒られるかも」と不安になり、だんだんチャレンジしなくなってしまいます。
間違いを見つけたときほど、ニコッと笑って「いいところ見つけたね!」くらいの気持ちで受け止めてあげると、子どもは安心して前に進めるようになります。
子どもにとって大切なのは、「結果」よりも「取り組んだことを認めてもらえた」という実感です。
間違いも学びの一部として、一緒に楽しむ気持ちで関わっていけるといいですね。
4.集中できない子には「時間のリズム」と「環境」の工夫を
「すぐに気が散ってしまう」
「机に向かっても全然はかどらない」
そんなお子さんの様子に、やきもきした経験はありませんか?
でも、集中力って、生まれつきの問題だけではなくて、ちょっとした工夫で驚くほど変わることがあります。
ここでは、おうちでできる“集中しやすい工夫”を紹介します。
◆ ポモドーロ式で「時間を区切る」
「長く続ける」より「短く集中」がポイントです。
25分集中 → 5分休憩、というサイクルで勉強する「ポモドーロ・テクニック」は、集中が苦手な子にもおすすめです。
タイマーを使って、「あと○分だけね」と区切ってあげると、気持ちのハードルが下がりやすくなります。
休憩時間におやつを食べたり、軽く体を動かすのも効果的です。
◆ 視界に入るものを整える
机の上に漫画、スマホ、メモ帳、チラシなどが置いてあると、それだけで気が散ってしまいます。
まずは視界に入るものをできるだけ少なくするだけでも、集中しやすくなります。
また、机の向きや照明、座る椅子の高さなど、「なんか落ち着かないな」と感じている原因を一緒に探すことも大切です。
ちょっとした位置や明るさの調整で、驚くほど集中しやすくなることもあります。
◆ BGMやアロマで「集中スイッチ」を入れる
無音だと逆に落ち着かない子には、カフェ音や自然音のBGMを流すのも一案です。
香りに敏感な子には、ミント系や柑橘系のアロマ(またはおしぼり)もおすすめです。
こうした“集中モードに入る合図”を決めておくと、ルーティン化しやすくなります。
集中力は、本人の努力だけでなく、「仕組み」と「環境」で助けてあげることができます。
親ができるのは、「とにかく集中しなさい!」と叱ることではなく、
“集中しやすい土台”を一緒に整えてあげることなんです。
5.親ができるのは“アドバイス”より“共感と観察”
「こうやって解けばいいのに」
「なんでそんなに時間がかかるの?」
つい口を出したくなることってありますよね。
でも実は、親が“教える”よりも“気づいて寄り添う”ことの方が、子どもの勉強にはずっと効果的なんです。
◆ 「どうしたらいいか」ではなく「どう感じてるか」を聞いてみる
「どうしてやらないの?」と問い詰めるよりも
「今日はどんな気分?」「何かやりづらいことあった?」と聞いてみると、子どもはふっと本音を話してくれることがあります。
勉強が進まない理由は、内容がわからないことよりも、気持ちの問題や環境のせいだったりします。
子どもが自分のペースや感情に気づけるよう、ヒントを与えるような問いかけが大切です。
◆ 一緒に「やることリスト」を作って、見える化する
「何をすればいいかわからない」状態は、不安のもとになります。
そこで、子どもと一緒に「今日やること」「今週やりたいこと」をリストにして、終わったらチェックを入れていく方法がおすすめです。
大事なのは、「親が作る」のではなく、「一緒に考える」こと。
“相談に乗ってくれる人”という立ち位置になることで、子どもは安心して自分の課題に向き合えるようになります。
◆ 「見てくれてる」という実感が子どもの力になる
勉強をしている姿を、ただ黙って見守る。
一緒にいるけど口出しはしない。
それだけでも、子どもにとっては「ちゃんと見てくれてる」「応援されてる」と感じられるものです。
ときには、「さっきの問題、スムーズに解いてたね」
「今日、自分から始めたのすごいと思ったよ」
そんな“観察コメント”が、子どものやる気を後押ししてくれます。
親は、先生でもコーチでもなくていいんです。
ちょっと後ろから見守ってくれる、安心できる味方がそばにいる。
それだけで、子どもは自分の力で前に進もうとするようになります。
まとめ:子どもが「やってみようかな」と思える小さなきっかけを
「勉強しなさい」と言ったつもりはなくても、
「期待されてる」と感じた子どもは、知らず知らずのうちにプレッシャーを背負ってしまうことがあります。
でも、子どもが勉強を前向きに進めるために必要なのは、
無理に背中を押されることではなく、「ちょっとだけやってみようかな」と思えるきっかけや環境です。
勉強の始め方を工夫したり、
失敗を責めずに過程を認めてあげたり、
集中しやすい時間や場所を一緒に整えたり。
それらはすべて、親にできる小さな“応援”です。
そして、何より大切なのは「教えること」よりも、「見ていてくれる安心感」。
親がそっと寄り添うだけで、子どもは少しずつ、でも確かに前に進んでいけます。
焦らなくて大丈夫です。
完璧じゃなくていいんです。
今日、「少しやってみようかな」と思えたことこそ、大きな一歩。
親子で、ゆっくりと、進んでいきましょう。
以上、佐々木(@kateikyo_megumi)でした!
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